ヘルシータウン・プロジェクト

~健康に暮らせる地域を住民自身でつくるには?

 健康な暮らしを支える地域を自分たちでつくろう!

~疾病予防、地域包括ケア時代の住民発アクションを増やす方法の研究開発プロジェクト

「健康=病気でない状況」であり、健康を守るとは、病気を予防し、病気になったら治療することだと長らく考えられてきました。健康を病気の有無や身体状況によってのみ考えるなら、医療や介護が中心となります。しかし、健康を、自分の心身と向き合い、あふれる情報や医療・介護などを上手に活用して、生きがいのある充実した毎日を過ごすことだと考えると、私たちの毎日の暮らしやそれを支えるコミュニティこそが主役となります。

健康な暮らしは、医療・介護の専門職主導ではなく、自分たち主導でつくろう!
子どもたちのために、働き盛りの心身を守るために、病気をもちながら充実して暮らすために、生きがいあるシニア期を過ごすために、どのように自分自身や家族、仲間のヘルシーライフをつくれるのか考えよう。つながりや知恵のシェアから、健康を一人で取り組むものにせず、街の人とつながり、知恵をシェアする暮らしから分かちあおう。それを通して、私たちの力で誰もが健康に暮らせるヘルシータウンをつくろう!

そのためのモデル・プロジェクトの実践と、ノウハウ・ツールの提供を行っています。

contents

  1. モデル・プロジェクト〔1〕 あらかわヘルシータウン・クリエイティ部
  2. モデル・プロジェクト〔2〕 Spiritual Healthって何?
  3. モデル・プロジェクト(3) 住民主体の介護予防 総合事業通所型サービスB 立ち上げ支援プログラム
  4. モデル・プロジェクト(4) すぎなみ大人塾「アソビノベーションでヘルスプロモーション!」
  5. ヘルシータウンを考えるためのリソース
  6. あなたの街でも、ヘルシータウンを実現しませんか?

モデル・プロジェクト〔1〕

あらかわヘルシータウン・クリエイティ部

あらかわヘルシータウン・クリエイティ部とは?

誰もが健康に暮らせる街(ヘルシータウン)を生み出すために、ヘルスケアの専門家と、地域住民・地域づくりの担い手は、どのように連携していけるのか? 特に、コミュニティやつながりの弱い都市部において、どのようなアクションとプラットフォームが必要なのか? それを、医療・介護の専門職と地域の人たちが共に集い、荒川区町屋という具体的な地域を舞台に考え、新しいアイデアを実現していこうというプロジェクトです。共催:あらかわまる福プロジェクト

第1シーズン「課題分析」の総括

あらかわヘルシータウン・クリエイティ部 第1シーズンは、2015年11月2日から16年1月11日まで全6回7コマで開催され、38名(うち荒川区在住・在勤11名、1回のみ参加も含む)が参加しました。参加者には、医師、看護師・保健師、理学療法士、鍼灸師、製薬メーカー社員、地域住民など多彩な背景の人が集まり、7つの切り口から、ヘルシータウンを実現するための課題を探りました。課題解決の前に課題の本質が何かを見極める必要があるため、課題分析を中心に進めたところ、テーマが異なっても共通する課題として、下記の3点が明確になっていきました。

地域住民主体のヘルシータウンを実現するうえでの共通課題

  • これまで医療・介護と地域の関係では、「医療→保健→予防→地域」「介護→要支援→予防→地域」と専門家主導で、専門家のできないところを地域でお願いするという発想が強かった。専門家主導ではなく、「地域→予防→医療・介護」という地域発の流れも確立する取り組みが広がる必要がある。
  • 豊富な社会サービスがあっても、家族から申請がなければ措置、サービス提供できない。多様な機関からの多様な情報が家族に届けられ、それを家族が判断し、利用しようとしなければならない。家族の判断が重要な決定に関わることが多いのに、家族のヘルスリテラシーを高める取り組み、地域社会で家族を支える仕組みが足りていない。(かつては、コミュニティの中で経験の共有やおせっかいというアドバイスや問題発掘ができたが、現代では、周りに相談しない家族は孤立していく)
  • 専門家は、一つの課題に対する解決法は得意であるが、複合的な課題には弱い。住民の課題を把握し、医療・介護の専門家の強みを引き出しながらつなげていくコーディネーター役が重要であり、その人材育成が急務となっている。

第2シーズン「ヘルシータウン・アイデアソンを実施しよう」 2016年3月スタート!

第1シーズンで浮かびあがってきた共通課題、個別テーマの課題を乗り越えるには、これまでに縛られない新しい発想が必要となります。そこで、第2シーズンでは、住民と医療・介護の専門職の人が共に知恵を出し合い、新しい活動のアイデアを生み出し、実行する仲間を広げるために、「アイデアソン」を、参加者のみなさんと企画し、地域の人たちらにも声かけし、実行したいと考えています。 地域発のヘルシータウンづくりに、ぜひご参画ください!

▼第2シーズン プログラム詳細
https://empublic.jp/4938

下町不健康学会

第2シーズンの勉強会を行う中で、「健康を打ち出すと、専門家は集まっても、住民が集まりにくいのでは? どうしたら参加できるだろう?」という話になりました。その中で、「健康を話すよりも不健康を話す方が楽しいのは、なぜ?」となり、なら「不健康」を前面に出した方が話しやすいし、集まりやすい!という訳で、「下町不健康学会」を始めよう」ということになりました。

医療・福祉の専門職発の指導・ヘルスプロモーションでは、専門職が「健康・医療・福祉にとっていいこと」を前提に「生活ですべきこと」を考え、それを基準に地域住民の実際の生活を診てしまいがちです。すると、健康の理想と現状のギャップがある時、「不健康」と考え、改善すべきだと考えてしまうのです。つまり、地域を専門職発の視点では「パターナリズム」に陥ることが少なくないのです。
地域に暮らす人の生活に目を向け、専門家と地域に暮らす人の意識のギャップ(=不健康)に注目しました。先ず、地域に暮らす人たちに寄り添って現状を把握する。そこから専門家の視点や考え方を検証し、どのようなギャップがあるか、そのギャップを住民の視点から埋めるには、どうしたらいいのか、みなさんと共に考えたいと思います。

▼下町不健康学会 プログラム案内 
https://empublic.jp/unhealthy

いまどきシニア調査 今の65歳は健康なの? ~下町不健康学会2017

今の60代は健康なの?  これからの健康づくりに役立てるため、
リアルな生活状況の調査にご協力、ご参画ください!

「今の60代は、以前の60台より若いよね」と言います。

高齢者は65歳からと定義されていますが、今の65歳というと、さだまさしさんや三浦友和さん、風吹ジュンさんら。「高齢者」という言葉のイメージから遠い方も多いでしょう。2017年1月には日本老年学会などが、高齢者の定義を75歳以上とし、65歳~74歳を「准高齢者」とする提言を出しています。

いったい、今の60代、特に65歳前後の方は、どのような生活をしていて、健康の3要素、身体・精神・社会性からみて、どのような状況で暮らしているのでしょうか?

そこで、今年度の下町不健康学会では、これからの高齢世代の健康づくりのために、これから60代になる世代へのヒントとして、「いまどきのシニア」のリアルなライフスタイルと健康・不健康について調査を行うことになりました。

ぜひ調査にご協力、ご参加いただければと思います。 詳細はこちら

モデル・プロジェクト〔2〕

Spiritual Healthを探求しよう

身体に病気がなく、精神も病んでいなければ「健康」なのでしょうか。

例えば、病気もなく会社でバリバリ働いている人も感じることがある「なんとなくの虚しさ」、愛する人を突然失った後に長く残る喪失感。また、美しい風景や素晴らしい音楽にふれた時に生まれるエネルギー、自然や祈りの時間が与えてくれる癒し。それらは、目にも見えず、外から評価もしづらいのですが、私たちの「健康」に影響を与えていると思われます。

これら希望、生きる意味、癒し、内なる平安などは「Spiritual Health(魂の健康)」と呼ばれており、魂、身体、精神、社会性は相互に影響を与えあうことで「健康」を実現しているという考え方も広がりつつあります。魂とは何か、また魂が心身にどう影響を与えるかは科学的に明確にはなっていません。しかし、未だよくわからないことに、何か大切なことが残っている可能性は大いにあるでしょう。

特に、現代の日本を考えると、モノもサービスも溢れ、豊かな暮らしのはずなのに、どこか満たされていない状況や生きがいを求める人が少なくない状況、詐欺や猟奇的な事件などが多発する状況など、目には見えず、評価もできないが生きるうえで大切なことを考えることは大切なことです。また、がんなどを患った際に終末期をどう過ごすのがいいのか、東日本大震災など災害に感じる無力感にどう向き合えばいいのかなど、生や死と向き合うことが必要な場面も増えています。

これからの時代の生き方を考えるために、従来の医療介護観に縛られない新しい制度を生み出すために、「魂の健康とは何か?」という正解のない問いを、対話を通して共に考えるプログラムです。

詳細はこちらから

モデル・プロジェクト〔3〕

介護予防のための通所型サービスB 住民主体の立ち上げ支援プログラム

地域包括ケアでは、地域の支えあいが重視されており、住民による地域活動も含めた多様な主体による生活支援・介護予防サービスの重層的な提供が期待されています。その中で、「介護予防・生活支援サービス事業 通所型サービスB型」は、ボランティア主体で「住民主体によって要支援者を中心とする自主的な通いの場づくり」の仕組みであり、地域とのつながりを維持しながら柔軟な支援を住民主体で実現することを目指しています。

「通所型サービスB型」は、地域包括ケア時代を象徴する活動の一つとして可能性が指摘されていますが、立ち上げをうまく進めていけていない地域も多くあります。その大きな理由は、この事業がボランティアら住民主体による事業でありながら、一方で、ケアマネジメントの下に実施するものであり、開催頻度、補助対象の内容など要件が定まっていることから、自分たちの思いで、自分たちの好きなように活動する従来のボランティア団体の考え方や文化と一致しない部分があるからです。その結果、既存の高齢者サークル、地縁組織などにB型への移行を期待しても、負担感が大きくなったり、文化が相いれなかったりして、B型への移行は難しい状況があります。

地域住民が主体となって「通所型サービスB型」の事業を立ち上げるために、私たちは下記の4つの点から移行をサポートするプログラムを提供しています。

  • 地域住民の地域包括ケアと総合事業への理解を進め、地域のつながりを維持した介護予防・生活支援の必要性への意識を高める(立ち上げの下地づくり)
  • これからの地域において、住民主体でありながら、ケアマネジメントと連動した
    「通所型サービスB型」を住民が立ち上げることへの理解者を広げる(運営の担い手の候補者、広報などの地域の協力者)
  • 「通所型サービスB型」の運営に必要な知識とスキル(介護予防、活動運営、ボランティアマネジメントなど)を身につけると共に、運営チームをつくる(立ち上げチームづくり)
  • 運営チームによる「試行」を通して活動内容を定めていく(地域の実情に応じた活動メニュー)

> 詳しい内容については、お問合せフォームより、お問い合わせください。

モデル・プロジェクト〔4〕

すぎなみ大人塾「アソビノベーションでヘルスプロモーション」

すぎなみ大人塾、今年のテーマは「大人の街遊びから健康の新しいコンセプトを考える」です!
いくら“良いこと”であっても「しなきゃいけない」と教えられたことで自分を律するのは、続けにくいものです。しかし、もし自分たちのしたい遊びで楽しん でいることが、結果として“良いこと”になってしまうなら、どうでしょう?きっとその方が続けられるし、たくさんの人が参加できるようになるでしょう。
目的ありき・べき論の活動から、自分たちが楽しく遊ぶことで良いことが起きてしまう活動への転換を、私たちは「アソビノベーション(遊び+イノベーション)」と呼んでいます。今年は「健康づくり」のアソビノベーションにチャレンジしたいと考えています!
楽しみながら、つながりを広げながら、自分も周りの人も健康になってしまう。そんな「遊び×おたがいさまでの健康づくり」を、自分たちで考え、自分たちで試し、地域の人たちに伝えていく試みです。
杉並に住むと、楽しい活動がたくさんあって、つながりもたくさんでき、自分も周りの人も健康になる!そんな「ヘルシーすぎなみ」をつくるチャレンジしています。

> スタート告知の投稿はこちら

>facebookページ 「アソビノベーションでヘルスプロモーション

ヘルシータウンを考えるためのリソース

  • バンクーバー市 Healthy City for all

    バンクーバー市が、2014年から2025年に、健康に暮らせる地域を戦略的につくっていく取り組み。下記の動画をみると、「健康」が単に医療・保健の狭い範囲を扱っているのではないとわかります。
    あらかわヘルシータウン・クリエイティ部のシーズン1第1回レポートもご参照ください。>こちら

  • 地産知縁第3号「困難を抱える人に友人として寄り添う」

    エンパブリック情報誌「地産知縁」第3号の特集では、ロンドンの貧困地域で住民主導で設立し、900の住民プロジェクトが運営されている「ブロムリ・バイ・ボウ・センター」の紹介記事「困難を抱える人に友人として寄り添う」を掲載しています。 >導入ページPDF版

    冊子・PDF版の購入は「出版物」にて、「地産知縁第3号」をご購入ください

    bbbc

  • 東京ホームタウン・プロジェクト

    東京都保健福祉局による、地域における支え合い体制づくりのアイデアを集積し、多様な主体による地域貢献活動の選択肢・可能性を広げるプラットフォームを提供する取り組み

    プロジェクト紹介動画

  • 書籍「コミュニティ・アズ・パートナー―地域看護学の理論と実際」

    地域保健の教科書の定番。地域を包括的にとらえ、住民が健康に暮らせるようエンパワーメントする方法を紹介しています。
    この翻訳は原著第2版の翻訳。原著は7版まで出ていますが、本質は第2版で十分説明されています。

  • 書籍「高齢社会のアクションリサーチ」

    東京大学秋山弘子教授らによる、コミュニティ課題の発見、解決策の実行から論文のまとめ方までをまとめた研究報告書

  • 書籍「参加型アクションリサーチ(CBPR)の理論と実践」

    調査する研究者-調査されるコミュニティという関係ではなく、コミュニティの人びとが満足できる形で調査成果を還元するため、さまざまな参加型リサーチとして、CBPR(community based participatory research )の手法を紹介。

    

エンパブリックでは、住民が小さなステップを自らあがり、コミュニティ・アクションを立ち上げ、発展していく場づくり通して、住民主体の健康なまちづくり、多様な人たちの社会参画により、多くの人が活き活きと暮らしていける地域づくりのお手伝いをしています。

  • 杉並区すぎなみ大人塾、小平市中央公民館シルバー大学イベントづくりプログラムなど、コミュニティ・アクション・ラーニングプログラム >実績
  • みんくるプロデュース共催「みんくる健康・医療ファシリテーター養成講座」(医療者と市民の対話)
  • 患者スピーカーバンク「患者スピーカー養成講座」プログラム開発