「地域に住む人が暮らしの中で必要なことは、自分たちでつくってしまおう!」
その選択肢を広げていくのが、エンパブリックの仕事です。その仕事に、どのように取り組んでいるのか、紹介します。
- 私たちの考える課題
- 課題解決への基本的な考え方
- ソリューション&サービス/実践事例
1.課題 「なぜ”住民主体”はうまく実現できないのか」
「住民主体の地域づくり」は長らく言われ、そう考える人が住民にも、行政にもたくさんいるのに、実際、効果的に機能している事例は限られています。私たちは、多数の地域の担い手育成、コミュニティビジネスの支援の経験から、住民主体の地域づくりに多くの人が意欲も能力もあるのに、うまくいかない場合、次のような課題があると考えています。
1)同じを求め、違う価値観やスタイルの受け止め方に慣れていない
地域では、価値観や思いも、目的や目指す姿も、投入できる時間や能力も、人によって違います。さらに、立場が異なると、それぞれの事情があります。地域は違う人たちの集合ですが、つい私たちは同じ思いで、考え方やスタイルも同じになるよう相手に求めてしまいがちです。短期間に”同じ”は無理と割り切り、どう違いを受け止めあい、協力しあうか。そこに慣れていない場合が多くあります。
2)地域運営に必要な基礎スキルや心構えの認識不足
前提が違う人が集うコミュニティにおいて、どう話し合い、グループを運営するか。そこに求められるスキルや心構えがあり、体系的に学べることに気づいておらず、習得できている人も少なくありません。
3)実践からの経験知の共有不足
グループやコミュニティで、「自分たちのやり方」が中心となり、同じような課題を抱える他のグループの取り組み、経験などをよく知らないと、これまでと違う方法のイメージを持てず、変化に後ろ向きになりがちです。(他事例からどう学び、ノウハウを活かすか慣れていないと、他と自分たちとは違うと考えがちです)
4)できる個に頼りがち。できる人は一人で動いてしまいがち
場やコミュニティの運営では「仕切り役」が大切と考えがちです。そうすると、他の参加者は「その人が仕切ってくれる」と受け身になります。その結果、仕切り役になったリーダーや幹事などの人は、自分が上手に運営しないといけないと考え、ますます負担は大きくなります。また、動ける人は、自分でやった方が早いと一人で動きがちです。仕切る進め方は、うまくいっている時はいいのですが、トラブルがあると参加者から「仕切りが悪い」とクレームが生じ、それがコミュニティの分断や停滞につながります。
5)ステップアップのプロセスが不明確で、成功か否かに陥る
コミュニティや地域経済の弱体化は数十年に渡って生じたことです。長く運動していない身体は、少しずつほぐし、徐々に運動を高めていかなければ怪我するように、地域やコミュニティは、少しずつ新しいやり方に慣れ、住民がコツを習得し、底力を付けていく必要があります。しかし、活性化策に即効性や見込める成果を期待したり、徐々に動くのを結果がないと批判したりすることで、新しい動きを始めるのおが難しくなっています。中長期的にステップアップしていくイメージを実施者も住民も持てていない場合も多くあります。
6)失敗できる環境がない
地域やコミュニティの関係性がある中で、周りの目を気にすると、失敗したくない気持ちが強くなります。「失敗は、うまくいかない理由がわかるチャンスだ」といった考え方が許されづらく、事前に失敗しないように準備することが求められると、保守的な活動から抜け出すことは難しくなります。
2.基本的な考え方 「地域の人の可能性を守り立てる」
地域の人たちが、自分たちで場をつくり、協力しあってプロジェクトをつくる実践を通して、
スキルアップ、ステップアップしていくお手伝い
地域の住民の中には、自ら地域を良くしていく意欲も能力も眠っている。しかし、急に「地域に参加して」「課題解決に協力して」と呼びかけても、準備(readiness)が整っていなければ、参加ができません。
地域住民の潜在化している力を発揮できずにいる理由を外していき、住民たち自身で「自分たちならできる!やっていこう!」と思っていける。そんな「守り立てる場づくり」を使って、関心を深め、仲間をつくり、課題解決の担い手となっていくプロセスを設計し、必要なプログラムを提供しています。>「社会・地域の課題解決への参画者を増やすには?」
1.学びあう場を整え、学びの場を担える人を増やす
地域で動き出す第一歩は、お互いのことを知りあい、つながることです。それには、他者への無関心を、お互いへの関心に転換するステップが必要です。
そこで最適なのが「共に学ぶ場」です。それも、単に一緒に講演を聴くだけでなく、対話や自分たちでアクションするプロセスを通して、お互いを知り、違う考え・経験・立場の人から得ること(=学び)が面白いと思えるような「学びあう場」が大切です。同時に、「学びあう場」は、スキルアップや情報・経験共有の機会であり、試行錯誤できる=失敗を学びにつなげて考えることができます。
多面的な意義がある「学びあう場」は、特定の講師やファシリテーターよりも、地域のあちらこちらで、その場にいる住民が(最初から上手でなくても)自らどんどん実践する必要があります。私たちは、「学びあう場」の実践に多様な人がトライするお手伝いを担います。
2.住民主体の地域づくりへ、その地域のステップアップ像を設計する
住民参加、住民主体などの言葉は多様な意味・解釈があり、人によって想定が異なります。シェリー・アーンスタインの「住民参加のはしご」など共通の尺度を設定し、現状とゴールをどこに設定しているのか、その異同を共有すると、誤解やすれ違いを減らすことができます。
また、目指したい姿と現状のギャップが大きい時、諦めたり、夢は夢として目の前に注力したりしがちです。目指す姿と現状の間にある中間地点やステップがあれば、次に何にトライしたらいいか、自ら気づき、主体的に歩むことができます。
私たちは、経験と知見をもとに、目指すべきモデルを設定し、ゴールと現状のギャップを埋めるステップを設計することによって、合意形成や活動のステップアップを促していきます。
3.プロジェクト、地域起業家を群れで育み、クラスターの基盤を整える
これまでの地域づくりでは、一つの大きな成功や優れた個の活躍を期待するか、多様な小さな活動がバラバラになっているか、いずれかに陥りがちです。私たちは、地域に大きな活動から小さな活動まで、収益の高い事業からボランティア活動まで、多様な活動が地域に起き、それぞれが自立しながらも、相互に刺激しあい、活動間で経験や知恵、人材を分かち合うことで、個も全体も成長し、新しい活動もどんどん生まれるイノベーション・クラスターの構築を、最も重視しています。物理的に近く、人の顔が見えやすい地域だからこそ、(合理性だけでない)多彩なつながりが生まれ、相互に学びあい、ノウハウを分かち合っているからこそ助け合える。そのようなソーシャルキャピタルの構築に取り組んでいます。
取り組みイメージ(文京ソーシャルイノベーション・プラットフォームより)
3.ソリューション&サービス / 実践事例
私たちは地域の人たちが、対話や活動を通して関係性を育み、新しいイベント ・ プロジェクト ・ 活動 ・ 仕事を生み出す取り組みをサポートしています。
エンパブリックの取り組み方を紹介した「地域・組織から新しい仕事を生み出す6つのステップ」動画はこちら
場づくり実践応援
上記のプログラムを、自ら実践したい方、地域で自分の考えるワークショップ、プログラムを実践したい方の企画・準備・運営をサポートします。
「ばづくーる」サイトは、新しい活動を生み出す場づくりのレシピ、リソースを紹介。「ばづくーるスクール」はスキルとマインドを実践を通して身につける学びの場。実践ノウハウを分かち合うオンライン・サービス「ばづくーるラボメンバー」など、独学で学ぶ、仲間と学ぶことを応援しています。 >本サイト「場づくりの腕を磨きたい」へ
場づくりノウハウの普及のお手伝い
地域づくりや地域課題解決型事業に取り組んできて、「自分の事業・経験を他地域の人にも広げたい」とお考えの方を、エンパブリックはお手伝いしています。エンパブリックのスタッフが、これまで取り組まれてきたノウハウを参加型の講座としてまとめ、全国で場づくりをしたい人に普及するお手伝いをしています。お気軽にお問合せください。
実践事例
- みんくる健康・医療ファシリテーター育成講座 (医療者と市民の対話の場づくり手法を普及するお手伝い)
- 患者スピーカーバンク育成講座 (患者が自分の経験をまとめ、社会に発信する人材となるプログラムの開発のお手伝い) など
a.ソーシャルイノベーション・プラットフォーム構築
地域の現状からビジョンと実現プロセスを定め、対話、社会起業講座、プロジェクト経営力向上、担い手のコミュニティ構築などを総合的に組み合わせ、地域活動育成と土壌づくりの両方を実現します。また、この取り組みを地域に根付かせるためのコーディネーター育成を実施します。
実践事例
文京ソーシャルイノベーション・プラットフォーム > 事業特設サイト
実施内容
【現地でのソーシャルイノベーション・コーディネーター育成(1年間)】 標準価格 450万円(+税、交通費)
文京区での実践経験をもとに、地域のコーディネーター候補者数名に対して、地域での実践を通して、
対話、講座、活動育成を企画・運営できるトレーニングを行います。(研修+実践スーパーバイズ)
【導入プログラム+継続基盤の構築 (2年間のサポート)】 標準価格 1,400万円(+税、交通費)
エンパブリックスタッフによる地域調査・ビジョン設計、モデル・プログラムの実施を踏まえて、
地域コーディネーター育成と実践スーパーバイズによって、地域の基盤づくりを行います。
b.コミュニティ・アクション・ラーニング
地域で暮らし、働く人たちが、自らの思いと経験を生かし、具体的なアクションを起こし、これからの地域の担い手としてのあり方を学んでいく住民向け連続講座等。エンパブリックでは、東京の都心部から限界集落まで、高校生からシニア世代まで、さまざまな地域・テーマ・対象者に応じてカスタマイズして提供しています。
実践事例
- すぎなみ地域大学(杉並区教育委員会)
「大人の街の楽しみ方~アソビノベーション+one」 - すぎなみ地域大学(杉並区)
「社会貢献型イベント企画・実践プログラム~NPO・地域活動者と協働し、イベントをやってみよう~」 - すみだガバナンスリーダー養成講座(墨田区)
「2020年世界に誇れるすみだを実現するには?」 など >実績ページ
実施内容
【エンパブリック・スタッフによる講座運営】 標準価格 14回セット 250万円(+税、交通費)
講座企画+講座実施+受講生フォロー
【講座実施者へのコンテンツ提供+スーパーバイズ】 標準価格 120万円(+税)
地域の講座実施者への講座コンテンツ・実施ガイドの提供+研修+スーパーバイズ
c.協働人材、コーディネーター人材研修プログラム
自治体、コーディネーター団体において、地域住民の主体性を促し、担い手として成長するプロセスに寄り添い、学びあいを促す人材のための研修です。 (標準プログラム 15時間 45万円(+税、交通費))
〔自治体職員向け〕
「社会起業プランづくり体験を通して、新しい地域への視点を学ぶ」
地域課題を社会起業家として見て、課題解決の事業をつくる体験を通して、
異なる立場に立ち、新しい視点から地域の課題を考える。
実績 研修「社会起業家に学ぶ」(目黒区人事課)、研修「協働(応用):社会起業プランニング」(文京区人事課)など
〔コーディネーター団体向け〕
小地域活動、NPOや地域起業家の活性化などを守り立てる実践スキルを学びます。
実績 新宿区社会福祉協議会「これからの社協の担い手に求められること / 区民向けコーディネーター講座の実践」など
※ 講演・ワークショップ
エンパブリックの実践経験を踏まえた地域づくり、コミュニティ運営、担い手育成に関する講演・ワークショップの講師・ファシリテーターを派遣します。
テーマ例
- 地域から新しい仕事を生み出す仕組みをつくろう!
- 起業のためのコミュニティ戦略
- 地域を守り立てるまちづくり実践手法
- イノベーションがどんどん生まれる「学びの場」とは?
- 地域協働、地域包括ケアなど地域の担い手の連携を進めるファシリテーション
(例:杉並区「地域包括ケアセンター職員向け 地域ケア会議ファシリテーション講座」)
講演等標準業務費
・代表広石拓司 3時間の講座・ワークショップ 15万円(+税、交通費)
・スタッフ実施 3時間の講座:ワークショップ 5万円(+税、交通費)~
※講演費は標準価格です。テーマ、実施の内容・方法によって変更できる場合もありますので、ご相談ください。