empublicメールマガジン「トランプ政権の反ESG時代におけるサステナビリティ」~根津の街から(2024年11月14日)
―<INDEX>――――――――――――――――――――
◆1◆【広石コラム】トランプ政権の反ESG時代におけるサステナビリティ
◆2◆【講座】解決策を考える前に問いかけたいこと
~問題を深く理解し、効果的な解決策へと導く”問いかけ力”を学ぼう(全3回)
◆3◆【講座】なぜ気候変動への取り組みへの賛同者を増やすのは難しく、反対・反発も生んでしまうのか?
~「正しいこと」が溝や分断を起こしやすい時代に環境・社会活動を進めるためのコミュニケーションとリーダーシップを考えよう(11/21)
◆4◆多様な働き方・仕事観を尊重しあえるコミュニケーションのベースと対話へのレディネスの整え方(12/3、12、13)
◆5◆社会課題解決の事業化・相談会~ 課題解決を価値創造に転換し、事業としていくには? (初回12/19)
◆6◆エンパブリックのラジオご紹介!
◆7◆編集後記
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11月に入り、やっと秋らしくなったかと思えば、暑い日や寒い日など天候が不安定な毎日です。季節の変わり目に体調など崩さぬようお気を付けください。
エンパブリックでは、企業、個人で、社会課題解決の事業化に取り組みたいと思っている方、取り組んでいるが難しさを感じている方からの相談を多くいただきます。
そこで、11月後半から、問題の捉え方や関係づくりに必要なポイントなど、みなさんの取り組みに役立つ講座や個別相談会も行っていきます。ぜひこの機会をご活用いただけたらと思います。(中村)
◆1◆【広石コラム】トランプ政権の反ESG時代におけるサステナビリティ
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アメリカ大統領選挙が行われ、トランプ氏が再度、大統領となることになりました。
今回のアメリカ大統領選挙も欧州や各地の選挙でも、いわゆるリベラルと呼ばれる人権や環境問題などを重視する進歩的な考え方と言われる層が苦戦しています。
11/21に「なぜ気候変動への取り組みへの賛同者を増やすのは難しく、反対・反発も生んでしまうのか? ~「正しいこと」が溝や分断を起こしやすい時代に環境・社会活動を進めるためのコミュニケーションとリーダーシップを考えよう」という講座を開催しますが、人権や環境問題などの重要性が高まるほど、「今はそれどころではない。意識高い話はうんざり」という反発も大きくなってしまいます。
来年からのトランプ政権では、いくつも大きな転換が行われますが、反ESGが進むことは確実でしょう。
ESG(=E:気候変動など環境、S:人権、G:ガバナンス)はSDGsと共に、近年、企業が環境や社会に取り組むことが不可欠になっていることを象徴する言葉として多用されてきました。
しかし、共和党側はESGを「経済に政治を持ち込み、不当に規制をかけるものだ」として強く反発してきました。実際、20州以上の共和党の知事の州では、反ESGの法律や施策が打ち出されています。また活動家もグリーンウォッシュの課題を指摘してきました。
その流れのため、2020年~22年まで拡大していたESG投資額もアメリカでは急速に落ち込み、今年に入って新規のESGファンドはほとんど出されていません。また、株主総会でも「利益拡大を怠る活動だ」などの意見が強くなり、ESGの取り組みを表立って発言することを控える企業が増えています。
この流れはトランプ政権で決定的なものになります。
トランプ政権の閣僚候補も反ESGを打ち出している人が選ばれていますし、共和党系のファンドは「ESGではなく、Entrepreneur、Innovation、GrowthのEIGだ!」と打ち出しています。
アメリカのこの動きは、すぐに日本にも大きな影響を与えるでしょう。
「SDGsや気候変動対策、ESGのような幻想を追うのは企業として望ましくない」という言説も飛び交うようになるでしょう。
近年、「なぜ気候変動対策や人的資本経営に取り組むのか?」に対して「ESG投資で求められるから大切です」という言葉が飛び交っていました。来年には、その言葉は通用しづらくなるだろうと思います。
ただ、この時に考えたいのは「企業がESGに取り組むのは、株主や投資のため?」という問いです。
ESGで求められるから、気候変動対策や人的資本が求められるのではありません。
今、世界で現実としての気候変動が起きている状況に対して、企業が自らの力をもってすれば貢献できることがあり、それは市場を守り、育てることになる。
従業員は多様な価値観を持ち、困難な状況に陥りやすい時代に、個々の人のポテンシャルを引き出すからこそ、経営者は従業員をコストではなく「資本」として捉えなおし、責任ある経営と施策を進める。
その上で、気候や人権は企業の中長期的な利益につながることを株主やステークホルダーとコミュニケーションし、賛同を得るためのガバナンスが大切になる。
だからこそ、これらの動きを株主も従業員も関係者も評価する。
それがESGやサステナビリティに取り組む意味ですし、それは政治やファンドの動向とは別のところに価値があります。
これから反ESG、反DEIという言葉も飛び交い、逆風の時代がくるでしょう。
しかし、追い風の時よりも逆風の時にこそ、その人の本質が表れますし、逆風の中で本質は磨かれます。
これからの揺り戻しの中でサステナビリティを鍛えられていくことが、SDGsのゴールである2030年に向けて必要なプロセスなのでしょう。
それと同時に、大統領選挙で象徴されるように、「これをすべき!当たり前でしょ」という「正しさ」を打ち出すだけでは、共感や賛同は得られない時代も来ています。
そこで大切なのは、「正しい答、解決策」を打ち出すよりも、「何が起きているのか。いったい何が問題なのか」ということを明確にし、共有し、問いを分かち合っていくことです。
解決策を急ぐあまり、「そもそも何が問題なのか?」「自分たちが取り組む問題は何なのか?」「どうして、この問題が私たちにとって大切なのか?」を明確に整理できていないまま進んでいることも多くあります。
そこで、「解決策を考える前に問いかけたいこと」の講座も開設します。
サステナビリティや社会課題解決の底力を付け、社会に広げていくために何が大切か、一緒に考えていきましょう!
◆2◆【講座】解決策を考える前に問いかけたいこと
~問題を深く理解し、効果的な解決策へと導く”問いかけ力”を学ぼう(全3回)
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「この問題は、どうしたら解決できるのだろう?」
私たちは組織や地域の課題に直面した時、すぐに解決策を見つけようとしがちです。
「何か良い方法はないか」「もっといいアイデアはないか」と考え、話し合い、試行錯誤をしても、どうもうまくいかない。
そんな時は、解決策そのものよりも、その前のステップ=「問題の理解」を見直すことが大切です。「問題を適切に、深く理解する」ができていなければ、いくら解決策を学んでも効果的に機能させることもできないでしょう。
解決策の効果を高め、賛同・協力者を増やすために、どう問題に向き合い、どう問いかけていくのか。ゼミ形式で参加者の方と一緒に考えていく全3回のプログラムです。
<開催日程>
オンライン 3日間コース:11月19日、26日、12月3日 20:00~21:45
詳細・お申込み https://peatix.com/event/4159469/
対面 1日集中コース:12月6日(金)10:00~17:00
* エンパブリック根津スタジオで、集中して学びましょう!
詳細・お申込み https://peatix.com/event/4160690
◆3◆【講座】なぜ気候変動への取り組みへの賛同者を増やすのは難しく、反対・反発も生んでしまうのか?
~「正しいこと」が溝や分断を起こしやすい時代に環境・社会活動を進めるためのコミュニケーションとリーダーシップを考えよう
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異常気象や生態系の崩壊など、問題の重要性は認識が広がっており、色々な対策が動き始めているにも関わらず、地域で、組織内で気候変動対策へのアクションに賛同を集めることは依然として難しい状況が続いています。
なぜ、未来のために正しいことを行おうとしても、反対意見や反発が生まれてしまうのでしょうか?
実践経験と合意形成や対話の理論を踏まえて、なぜ気候変動対策を受け入れることが難しいのか、それどころか時に分断を引き起こすのか、その背景を考え、気候変動対策を進める仲間を増やすために何が必要なのかを考えていきます。
<開催日程>11月21日(木)20:00~21:45 オンライン開催
詳細・お申込み https://peatix.com/event/4160703/
◆4◆【講座】多様な働き方・仕事観を尊重しあえるコミュニケーションのベースと対話へのレディネスの整え方(12/3、12、13)
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現代のビジネス環境では、働き方や価値観は多様化し、それぞれの個性や考え方を尊重する組織風土が求められています。このような変化に対して、組織としてダイバーシティ推進施策などを充実させる企業は増えています。
しかし経営や人事が制度を展開しても、現場の一人ひとりの考え方や日々の行動に根付いていなければ、現場の行動変容にはつながりません。
このイベントでは、コミュニケーションのベースや対話へのレディネス(心とスキルの準備)を整えるには何が大切なのかを解説した上で、仕事観のセルフコーチングや対話の推進策などエンパブリックの今後の取り組みを紹介します。
<開催日程・詳細案内>
12月3日(火)16:00~17:00(オンライン) https://peatix.com/event/4203797
12月12 日(木)20:00~21:00(オンライン) https://peatix.com/event/4204380
12月13 日(金)11:00~12:00(対面&オンライン) https://peatix.com/event/4204363
◆5◆社会課題解決の事業化・相談会 ~ 課題解決を価値創造に転換し、事業としていくには?(2回セット)
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社会課題の解決に取り組みたいが、どのように事業化していけばいいか、わからない、迷っているという方のために、社会起業家の育成、企業の社会課題解決の事業化支援などに豊富な経験を持つ、エンパブリック代表が1on1の相談に乗り、一緒に課題解決の方法を考えます。相談会は90分×2回セットで行います。
<開催日時>面談初日の日時を下記からお選びいただけます
・12月19日(木) 16:00~、17:30~、19:00~
詳細・お申込み
https://peatix.com/event/4204422
◆6◆エンパブリックのラジオご紹介!
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〇empublicの一語一歩
「最近聞くようになった言葉」をヒントに今の社会を考える、エンパブリック代表広石のラジオ型番組です。
SpotifyとApple Podcastで配信中。「一語一歩」で検索を。
Spotify: https://open.spotify.com/show/4gRXIw1HxACPrFMfI83HKZ?si=27b68eaff0f040c5
<最新のエピソード:毎週木曜16時に更新>
#61 「仕事観」〜多様化し、変化する仕事に自分はどう向き合うか?
#60 「好きなまちで仕事を創る」〜顔の見える関係を大切にする仕事って?
#59 「谷根千」〜暮らしのリアリティから生まれる地域ブランド
#58 「ネガティヴブケイパビリティ」~正解のない時代を生きるために
〇エンパブリックスタッフが選ぶ!今、考えたいニュース
スタッフ渡邉と中村が毎週、今みなさんと考えたいニュースをピックアップしてお伝えしています。
<最新のエピソード:毎週木曜に更新>
・高齢者の避難訓練、なぜ進まない? 牛乳の過剰在庫とアパレル業界
*YouTube https://youtu.be/f-JbS2Vxdbg
*Spotify https://podcasters.spotify.com/pod/show/empublic-studio37/episodes/vol-25-e2q2one
◆7◆編集後記
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インターン生の富井です。毎年谷根千エリアで開催されている「芸工展」で、エンパブリックではまちあるきを企画しました。企画、運営に参加し、まち歩きの魅力や谷根千の新たな魅力を再発見しました。特に印象に残っているのは、根津神社を訪れたときのことです。参加者から「こんな身近に豊かな自然があるなんて驚きました!」と言われ、とても嬉しかったです。自分にとって当たり前の道や景色が、他の人には新鮮で魅力的に映ることを知り、谷根千という「まち」の価値を改めて実感しました。
また今回のまち歩きでは、今回エンパブリックが開発したアプリを使って、参加者同士の対話のきっかけになる「問い」を投げかけた事で「こう考えると楽しいですね」と嬉しい感想をいただきました。参加者の視点が変わる瞬間に立ち会え、この街歩きを企画してよかったと心から思うことができました。
「お散歩トークカード」アプリはこちらから!
https://empublic.jp/gkt24
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株式会社エンパブリック
メルマガ「根津の街から」
(第244号 2024年11月14日配信)
発行責任者=広石 拓司