もし、あなたの会社の後輩が、このように言っていたら、どう思いますか?
「新しい部署に配属され、わからないことがある時、
僕は自分で勉強して考えて、できるだけやったうえで、
どうしても困ったことを相談するのがいいと思うのです。
その方が自分の力も着くからいいと思うのです」
努力しようという姿勢、なんでも人に頼るよりもずっといいと考える人も多いかもしれません。
確かに、そういう一面はあるのですが、
ただ、「どうしても困ったことがあったら相談する」というのには注意が必要です。
自分で解決しようとするあまり、相談が最後の最後になってしまったら、大きなロスが生じます。
途中段階では「まだ完成していない、困っていない」と、内容を隠してしまうかもしれません。
また、最初に相談して、何を、どう勉強したらいいか、先輩の経験からアドバイスをもらう方が
ずっと効率的に進むかもしれません。
自分の努力だけでなく、周りの人に助けてもらうことも、大切なビジネス・スキルです。
これまでの正解が通用する時代では、自力で答を出せる人が優秀とされてきました。
それが前提になると「自分のことは自分でできるように」という教育、「結果を出した個人を評価する」という成果主義など、「自己責任」を強調するようになります。すると、自分のタスク、責任、自分が生んだ成果を、周りの人の存在よりも重視する習慣がついてしまうでしょう。
一概には言えないかもしれませんが、周りに相談しないで一人で解決する”優秀な人”とは、
「周りの人たちの経験が視野に入っていない」「どう周りの人と相談・協力したらいいのかわからない」
ということなのかもしれません。
現代から2020年代へ、ますます変化が激しい時代になります。
それは、たくさんの「未知の状況」が生じていくということです。
「未知」を「自分の知らないこと」と考えると、「自分で勉強すればいい」となります。
しかし、本当の「未知」とは、これまでの経験が活かせない状況を指します。そこでは、これまでの視点や何が必要な情報なのか、どう学べばいいのかという前提自体が大きく変化している可能性が高いのです。
アインシュタインは「問題が生じた時と同じレベルの考え方では、問題は解けない」と言いました。
もし、自分たちのビジネスで、これまでの経験したことのない未知の状況や、想定外の失敗が起きた時、必要なのは「他者に助けを求める」ことです。他者とは、自分とは異なる経験、異なる価値観・視点、異なる優先順位をつけている人のことです。自分が「そんなのじゃダメだ」と思っていた人の中にヒントがあるかもしれません。
未知の状況でうまくいかない時に、「自分の力でなんとかする」「これまでの関係者で、これまでの体制、これまでの進め方」を優先することは、泥沼に陥ってしまう危険性が高まるでしょう。
困難な時、ただ助けを求めても、助けてはもらえません。
「助けてもらえる」には、周りを信頼し、周りの人が持っていることを受け容れ、自分が変化していくことを厭わない勇気も必要です。同時に、助ける価値があると思ってもらえるよう、自分たちの実現したいことなど自分たちの「あり方」を整えておく必要があります。
「助けてもらえる力」は、周りの人を、そして自分たちの未来を信頼することから生まれます。
ですから、助けてもらえる力は、困難に陥ってからでは遅いのです。
日常からのどう周りとの関係性を構築していくのか。それが変化、未知への対応力になるのです。
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