empublicメールマガジン「探究は、なぜつまらないのか」を探究する ~根津の街から(2024年7月5日)

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◆1◆【広石コラム】「探究は、なぜつまらないのか」を探究する
◆2◆ ビジネスにとっての探究を考えるシリーズ
〇【7/11】探究心は、今を生きるビジネスパーソンになぜ大切なのか?
~「私の問い」から、変化に応え、変化を生み出す力を高めよう
〇【7/24】気候変動に対して地域・組織に何ができるか、見つける探究の進め方
~複雑な問題に向き合い、チャレンジするための探究プロセスとは?
〇【8/8】クリエイティブな課題解決を進める探究チームの立ち上げ方
~解きたくなる「私たちの問い」を見つけるには?
◆3◆【8月期】DXイントレプレナー養成講座
~デジタルを活かす社会課題解決事業の開発プロセスを体験しよう
◆4◆ empublic Studio説明会 開催!
◆5◆ エンパブリックのラジオご紹介!
◆6◆ 編集後記
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暑い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。。
日々メディアでも、世界中の異常気象について報道されており、表現も「猛暑」から「酷暑」へと変わり、農作物への影響などからも、私たちの生活に迫ってきているのを感じます。
エンパブリックでは、7月からビジネスパーソンのための「探究」を考えるシリーズが始まります。「仕方ない」に止めず、「それってどういうこと?」と探究する心は、ビジネスでも大切だと思います。
そして、「自分が何かしても・・・」と思いがちな気候変動を探究することについても、みなさんと話していきます。
私達ができる事を改めて、一緒に考えてみませんか。(中村)

◆1◆ 【広石コラム】「探究は、なぜつまらないのか」を探究する
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高校の探究学習の授業で「探究は、なぜつまらないのか」を探究した高校生の話をネットで見かけました。
発表会では「探究の授業、つまらないよね!?」と呼びかけ、ゲームなど好きなことは自主的に行っているのに、探究の授業は受動的になっているということでした。
発表者本人はもともと自分の好きなことを探究し始めていたので、それを授業の枠に押し込められるとつまらない。一方で、慣れていない生徒にとってはサポートが不十分に感じる。
必要なことは、個々の特性にあったプログラムを用意し、ファシリテーターがいて、苦手な生徒に発表を無理強いしないなどの提案を行ったということです。
紹介記事(全文は会員登録が必要)https://edtechzine.jp/article/detail/11032
コーディネーターを務めた今村亮さんのnote https://note.com/ryo_imam/n/nff4789a79afc

今村さんはnoteで「素直に本音を語れる心理的安全性、それを否定しない教育側の覚悟」がある「そんな桜美林高校すばらしいな」と書いてくれています。

私の慶應SFCでの授業で「自分の問題意識をシェアして対話する」の時にも、「今の探究学習に意味があるのか?」と問いかけた学生がいました。
また、昨年度の長野県「まちむら寄り添いファシリテーター養成講座」で、地域ファシリテーターの課題を考える探究活動を行った際も、「居酒屋ではあんなに語るのに、なぜワークショップに参加しないのか」というテーマがありました。

これらを通して感じるのは、探究学習のような参加型プログラムも、まちづくりワークショップのような場づくりにおいても、「運営側がしたいことに、参加者がつきあってあげる」ということが起きているということです。
そのため、参加者にとって「自分の場」になっておらず、教師やファシリの場になっているのだな、ということです。

最初の高校生の指摘で興味深いのは、「勝手に探究している学生はテンプレートでなくもっと自由がいいが、苦手な生徒にはサポートが足らず、テンプレートが弱い」という指摘です。
運営者は、個々の参加者をもっと見て、一人ひとりの特性に応じて力を発揮できるように力を入れてほしいというメッセージです。

運営側は多人数を対象とするため、どうしても「標準」となる学び手を想定しています。
自ら進め、テーマに貢献する意欲は持ち合わせるが、未勝手には動かず、スケジュールやテンプレートは守り、うまくまとめて発表をしてくれる。
そんな「良い参加者増」を想定し、プログラムを設計する。そして、うまく乗ってくれる人を「良い参加者」としてしまう。
そのある種の傲慢さを参加者は見抜いているということだと思います。

ただ、今村さんが「350名の生徒を扱う鍵はロジスティックだ!」と書いているのには、僕も大学で400名の授業でグループワークをしているので、とても共感です。
そのように、多人数が参加する場では「標準」が必要となる。
大切なのは「標準」はあくまでも「標準」で、「標準で想定したままの参加者なんていない」と腹を決め、「余白・遊び」をつくっておき、そこを使って参加者が「自分のもの」と思えるようにすることが大切だということでしょう。

それと同時に、探究や場づくりのプログラムは、あくまでもプログラムでしかなく、「探究しよう!」という探究心のスイッチを自分で入れる人を増やすことだと思います。

この探究心のスイッチは、今のビジネスパーソンにも不可欠だと思います。
DX、SDGs、気候変動対策などの話をすると「何をしたらいいのですか?」という質問が出がちです。ただ、その人達に「これをしたらいい」と伝えても、大抵の場合は動きません。
必要なのは「今、何が起きているのか知りたい!」「変化の先がどうなるのか?知りたい、考えたい」という探究心です。
それがなければ「対話」自体も始まりません。

「DX、気候変動は、なぜつまらないのか?やる気がしないのか?」から始めるのもいいでしょう。
社員が自分自身で探究し始め、探究心のスイッチを入れること。そこが変化の始まりとして、とても大切なのだと思います。

◆2◆ ビジネスにとっての探究を考えるシリーズ(全3回)
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ビジネスと複雑な問題に挑む探究心を一緒に考えてみませんか?
ゲストに、書籍「探究モードへの挑戦」など探究を通した人づくりの研究に取り組む佐藤真久さん(東京都市大学教授)を迎えて3回シリーズで開催します。
第2回では「気候変動」をキーワードに、大きな問題・変化にどう個人が向き合うといいのかも考えます。

〇【7/11】探究心は、今を生きるビジネスパーソンになぜ大切なのか?
~「私の問い」から、変化に応え、変化を生み出す力を高めよう
・7月11日(木)20:00~21:50 詳細・申込 https://peatix.com/event/3964866

〇【7/24】気候変動に対して地域・組織に何ができるか、見つける探究の進め方
~複雑な問題に向き合い、チャレンジするための探究プロセスとは?
・7月24日(水)20:00~21:50 詳細・申込 https://peatix.com/event/3964910

〇【8/8】クリエイティブな課題解決を進める探究チームの立ち上げ方
~解きたくなる「私たちの問い」を見つけるには?
・8月8日(水)20:00~21:50 詳細・申込 https://peatix.com/event/3964895

*一般参加:3回セット 9,350円。各回 3,850円 (Studio メンバー割あります)

◆3◆【8月期 木曜2日間集中!】DXイントレプレナー養成講座
~デジタルを活かす社会課題解決事業の開発プロセスを体験しよう
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ヘルスケアやサステナビリティを推進する上でもデジタルツールが不可欠な時代。
自分達の仕事に必要なデジタルツールは何か、課題や顧客ニーズをどう捉え、何を価値として提案すると事業化につながるのか?
事業づくりの0→1の考え方のプロセスを体験して学ぶことに特化したプログラムを2日間集中で行います。

社会課題解決に役立つ仕事に取り組みたいが、どこから始めていいか迷っている方、今の業務を改めて見直しデジタル化を進めたい方、地方創生など地域で活動している方、デジタル活用の業務のこれからを考えている方に、ぜひおすすめです。

・木曜集中2日間コース:8月8日(木)、22日(木) 10:00~17:00
・詳細、お申し込みはこちら  https://empublic.jp/dx-intre

◆4◆empublic Studio説明会 開催!
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「変化・価値創造・協働のソフトスキル」を多くの人が使いこなせるように、コンテンツやセッション、体験機会を広げる交流の場が、empublic Studio です。
今の活動や仕事を進めるために何が必要なんだろう?と考えている方に、ぜひスタジオを活用いただければと思います。
スタジオのことが気になっている方、どう使えるのか知りたい方(登録済の方も含めて!)、ぜひお立ち寄りください。

・開催日:2024年7月5日(金)20:30~21:30
〇開催方法:オンライン
参加登録 https://peatix.com/event/3960840

◆5◆エンパブリックのラジオご紹介!
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〇empublicの一語一歩
「最近聞くようになった言葉」をヒントに今の社会を考える、エンパブリック代表広石のラジオ型番組です。

SpotifyとApple Podcastで配信中。「一語一歩」で検索を。
Spotify: https://open.spotify.com/show/4gRXIw1HxACPrFMfI83HKZ?si=27b68eaff0f040c5
<最新のエピソード:毎週木曜16時に更新>
#42「NPO」~人々の声や思い、お金を託される存在となるには?
#43「ウェルビーイング」~身体と心とつながりが幸せを生む!
#44「エンゲージメント」~選び、選ばれる関係をどうつくっていく?
#45「Chat-GPT」~生成AIとうまく付き合うって?
#46「スポーツ」~「スポーツでまちづくり」に必要なことは?
#47「ポリコレ(ポリティカルコレクトネス)」~適切さにもほどがある?
#48「ローカルベンチャー」~地域で起業する可能性は?

〇エンパブリックスタッフが選ぶ!今、考えたいニュース
スタッフ渡邉と中村が毎週、今みなさんと考えたいニュースをピックアップしてお伝えしています。
<最新のエピソード:毎週木曜に更新>
#体験するとわかるサステナブルって?
#ニュースを避ける人が増えているのはなぜ?
#「合理的配慮」って誰の為?

*Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCU0RBwj1CpDA9r3o53sLrCg
*Spotify
https://podcasters.spotify.com/pod/show/empublic-studio37

◆6◆編集後記
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6月後半は、宮崎県三股町の社会福祉協議会の中にある「コミュニティデザインラボ」で1週間のインターンに行ってきました。住民主体の新しいプロジェクトが2年間で160以上も立ち上がっている現場で動いてみて、本当に学びが多い時間でした。
特に印象に残ったのは、とあるイベントで「どうやってアイデアを思いつくのか?」という質問に対して、「そもそも誰に喜んでほしいんだっけ?」「もっとできないかな?」と何度もアイデアに対する問いを重ねていくと、アイデアの質が上がっていくということです。アイデア発想というと、”すごく洗練されたひらめき”と思ってしまいがちですが、一つひとつを丁寧に問い、話し合いながら進めることが大事だと改めて思いました。
そして、empublic Studioで開催しているワールドカフェ・ふりかえり会なども、そのプロセスと重なっているなと感じました。「自分のプロジェクトもう少しよくできないかな」「この課題に関する活動やりたいけど、どんな形にすればいいかな」とお考えの方、ぜひStudioにご参加いただけたら嬉しいです!(渡邉)
https://empublic-studio.jp/entry

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株式会社エンパブリック
メルマガ「根津の街から」
(第240号 2024年7月5日配信)
発行責任者=広石 拓司