「それぞれ」を超えて ~ empublicメルマガ 2017.12.28
◆empublicメールマガジン「根津の街から」 -◆
(2017年12月28日発行)
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今年も残すところ、あとわずかになりました。
今年も多くの方に支えられてやってこれました。本当にありがとうございました。
今年はエンパブリックにとって、次のステージへの基盤固めとなる年でした。
十分には情報発信できませんでしたが、来年迎える10周年から先への準備をしています。
10周年には、みなさんとのコラボ企画を、どんどん行っていきたいと思います。
みなさん、よいお年をお迎えください。
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<INDEX>
◆1◆ コラム「”それぞれ”を超えていけるか」(広石)
◆2◆ 年明けの根津スタジオのプログラム
・ゼミ「問いかけ力を磨こう」~本質を探り、変化を生む場をつくるために
・「ワークショップ・デザイン」「雑談から始まるファシリと場づくり」
・ゼミ「複雑な問題に挑むためのダイナミック・パートナーシップ実践法」
◆3◆ エンパブリックの2017年のトピックス
◆4◆ 編集後記
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◆1◆コラム「”それぞれ”を超えていけるか」(広石)
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「今の学生の特徴はありますか?」と質問されることがあります。
この10年で変っことはたくさんありますが、最も変化したのは情報への姿勢です。
今は、すぐに検索ができる時代です。授業で紹介した事例などは、興味があれば、すぐにスマホで検索できます。質問したら答えるまでの間に検索もできます。
情報なら、いくらでもある時代の中で、授業の役割も変化しています。
そこで、今年の大学の授業では、学生たちの議論の時間をなるべく多くとっています。
中でも、自分達自身の活動を検証する議論は、学生たちの生の声が出て興味深いものです。
その学生たちの議論でも、社会人の議論でも気になるのが「それぞれ」を答にすることが、よく見られることです。
違う意見や対立がある時、複数の関係者が関わる時、「それぞれの考え方で???」というのを結論とする考え方を、少なからず見かけます。
確かに、無理して一つにならなくてもいい場面も多いのですが、「それぞれ」という結論が、「そうしておけば、面倒じゃないから」という理由でなら、注意が必要です。
これを、ボストンコンサルティングのイヴ・モリュー氏はTEDトークの中で、「チャンネル争いに、2つのテレビを置く解決法」と呼んでいます。多くの組織で、社員が違うものを見たがり、その結果、それぞれのテレビ(ゴール)を設置する。
その結果、組織内の協力が弱まるのが、生産性低下の大きな要因だというのです。
「それぞれ」は、一見、相手を認めているようで、自分と他人の間に線を引く思考です。
「それぞれ」だと面倒が減るのは、相手との相互作用を避けることができるからです。
これを、異文化理解の研究者ミルトン・ベネットは「最小化」と呼びました。異文化に出会うと、先ず「違和感・拒否感」があり、その後、反発か同化を経て「最小化」になる。自分を変えたくないがゆえに、自分とは違う意見を否定せず、それぞれと考える段階です。
最小化を超えて、異文化の受容に行くには、相手の存在を通して自分の正しさを再検証し、相手のいいところを認め、自分が絶対ではないと納得する自文化の相対化が不可欠です。
「それぞれ」は一見、他者を受け容れているようで、自文化中心は動かさないので、そこから協力は生まれないのです。
この一年を振り返ると、世界でも国内でも色々なところで「それぞれ」が起きています。自分の正しさを主張し、自分の考えを他者によって検証しない。相手の考えは相手の考えでしかなくスルーし、「自分たちはこうだ」と頑なに主張する。どんどんと内側に目を向けて、相手が何を言おうが、世界の流れがどうだろうが、「これでいいじゃないか」「自分たちはちゃんとしている」と居座り、自らを検証しない。
2つのテレビは「自分たちのテレビに自分の観たいものだけ観る」という状況を作ります。しかし、同じ時間に、別のテレビでは自分とは違う、自分には不都合なものが流れています。それを無視するか、自らを検証する機会とし、他者と協力してより先に行くのか。
2018年は「それぞれ」を超える対話の広がる年になってほしいと思います。
そのために、自分たちのできることを行っていきたいと考えています。
ぜひ、一緒に取り組んでいきましょう!
■2■ 年明けの根津スタジオのプログラム
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2017年は根津スタジオのプログラムに、313人の方にご参加いただきました!
北海道から沖縄までの参加者がいらっしゃり、多様な職種の方にご参加いただいています。
来年もプログラムを一層充実していきます!
◎ゼミ「問いかけ力を磨こう」~本質を探り、変化を生む場をつくるために
【内容】
問いかける=問い+声かけ・働きかけ
「それぞれ」に閉じこもるのを超えて、より充実した話し合いができるかは、「どう問いかけるのか?」にかかっています。
6つの場面に必要な問いかけの前提となる理論を学び、体験から実践法を身に着けます。
【日程】
* 2018年1月23日(火) ~2月27日(火) 火曜夜コース 19:00~21:30
* 2018年2月4日&3月4日 日曜集中2日間コース 10:00~18:30
(参加できない回を別コースに振り替え可能なのが好評です!)
【ナビゲーター】 広石拓司
【参加費】 6回セット 30,000円(税込、資料、茶華付)
【詳細・お申込み】 https://empublic.jp/questioning
◎「ワークショップ・デザイン~参加型の学びの場のつくり方」
「雑談から始まるファシリと場づくり~つながりと協力を促すファシリテーションの基礎」
【内容】
「参加」「協力」を生み出すためのプログラム設計、場の担い手に求められることを、体験を通して考える場です。個々の企画やファシリ実践へのフィードバックが特徴です!
【日程】
*ワークショップ・デザイン 1/20土 10:00~16:00
9,000円 https://empublic.jp/5162
*雑談から始まるファシリと場づくり 1/20土 17:00~20:00
5,000円 https://empublic.jp/5133
*セット申込だとお得です!
【ナビゲーター】 広石拓司
◎ゼミ「複雑な問題に挑むためのダイナミック・パートナーシップ実践法」
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【内容】
企業文化の改革、医療費の適正化、貧困問題、地域包括ケアなどの複雑な問題は、多様な要素が相互影響して生じているため、何か一つの原因をつぶしても解決できません。
複雑な問題に挑むには、どうしたらいいか。その考え方とステップを紹介し、実践する方法を考えていきます。
【日程】水曜夜コース 1月31日(水)&2月21日(水)19:00~21:40
【ナビゲーター】 広石拓司
【参加費】前後編セット 14,000円(税込、資料、茶華付)
*ゼミ「問いかけ力を磨こう」とのセット割引、過去のゼミ参加者割引があります。
【詳細・お申込み】https://empublic.jp/7589
◆3◆ エンパブリックの2017年トピックス
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・千代田区との「ちよだコミュニティラボ」が始まりました http://chiyolab.jp/
・地域包括ケアの中での住民活動応援に携わることが増えています。
-東京ホームタウンプロジェクトは住民活動による予防促進の場づくりを応援
-狛江市で介護予防の担い手を増やすプログラムを実施
-地域包括ケアと住民活動に関するワークショップの依頼が増えています
・「サステナビリティ&ビジネス」「SDGs」に関する根津スタジオのプログラム、講演などが充実しました
・統合報告の「6つの資本」を活かすプログラム、地域版の展開をスタート
・育休後コンサルタントの山口理栄さんとの「育休後カフェ・ファシリテーター養成講座」がスタートしました。
・問いかけゼミ参加者は100名を超え、6回修了は72名に
◆4◆ 編集後記
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我が家は、今年も受験生のいる年末年始である。年始から出願なるものが始まる。
次女の通う女子校の進路指導はとても丁寧でありがたいが、やたらリスクヘッジを勧められる。それに従うと10校以上出願をすることになる。
生徒のことを思うが故だと思うが、最終三者面談でも、何か違和感を覚えた。そうか、先生方が考える「あるべき受験」と、我が家の考え方が違うんだ、、と今更ながら気づく。先生方は、先生方が考える前提のもとに(女子は浪人をすべきでないとか)、とにかく失敗しないように進路指導をしてくださるが、それはすべての子が望む最適解ではないように思う。
こんなところにも、前提が異なることで生じるトラブルが。こちらの意向をちゃんと伝えていなかった娘にも親にも非はある。何はともかく、自分が選んだ選択で、最善を尽くすことを祈りたい。(矢部)
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株式会社エンパブリック メルマガ「根津の街から」
(第176号 2017年12月28日配信)
発行責任者=広石 拓司
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