11周年の御礼~empublicメルマガ「根津の街から」(2019年5月31日)
◆個人は社会を良くできるのか? – empublicメールマガジン「根津の街から」 -◆
(2019年5月31日発行)
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◆1◆[コラム] 個人は社会を良くできるのか?(広石)
◆2◆ 6/7:対話:今、改めて「男女の役割とは?」を考えよう
◆3◆ 講座: 実践を通して学ぶ! 育休・復職後の働き方・キャリアを考える場のつくり方(東京・大阪)
◆4◆ 6/21:対話:暮らすのが楽しく、交流も豊かになる2040年の東京をつくるには?
◆5◆ 7/18~:ゼミ: サステナビリティをビジネスで推進するための問いかけ力
ゼミ「問いかけ力を磨こう」 6/30後半集中、8/17・18 2日間集中
◆6◆ 編集後記
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◆1◆[コラム] 個人は社会を良くできるのか? (広石)
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今、私は大学で、「ソーシャルビジネス」「サステナビリティ&ビジネス」の授業を持っています。
それらのテーマの前提には「個人は社会を良くできる」という考え方があります。
・・・とは言うものの、果たして「個人は社会を良くできる」というのは本当なのでしょうか?
そこで、学生たちに、次のようなテーマでグループでのディベートをしてもらっています。
ー<テーマ>ーーーーーーーーーーーーー
あなたの友人がこう言っています。
「社会を良くする、世界を変える」と言っても、個人のできることは、とても小さい。
家族や友人を幸せにすることはできても、すごく偉い人や有名人や特殊な人を除けば、
一個人が社会を良くしたり、世界を変えたりするなんて無理だ。」
この言葉に賛同する人、反発する人で意見が割れました。あなたは、どう考えますか?
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みなさんなら、どう考えますか?
このテーマを基に、賛成、反対の立場に分かれてディベートし、その後、立場を変えて再度、ディベートするのです。
この議論のポイントは、両方の立場から話してもらうことにあり、
そして、ディベート後に「個人は社会を良くできる」の賛成・反対の分かれ目はどこから生じるのか、考えてもらうのです。
その分かれ目について考えてもらうと、
・性善説か性悪説か、 ・ 個人の意思をどれほど信用するか
・人は自発的に動くのか、結局お金なのか ・SNSを信頼するのか
といった興味深い意見が出てくるのですが、行きつくところは、
「個人」「社会」「良くする」の定義の違いが影響する
ということです。
何より、学生には「・・・は無理」と言う言説について、その前提にはどのような捉え方、定義があるのか、
考えてほしいですし、一つに決めつけないで、多面的に考える批判精神を持ってほしいと思います。
そのような話をしている中で、ある学生が
「自分が社会の構成員であると認識している人は、社会を変えれると考えている」
と述べてくれました。
ここが大きなポイントであると、私は考えています。
「社会」を機構・制度として捉え、「個人」とは別のもの、社会は個人の上位構造のように捉えると、
巨大な社会を、小さな個人が変えれるとは思いにくくなります。
しかし、英語の「Social」が「人と人のつながり」も意味するように、
「社会」は、あくまでも「個人」のつながりであり、個人は相互に影響を与えあうことができる、と考えると、
個人の起こす変化は、個人によって構成されている社会を変えることができる、と考えることができるでしょう。
リオタールは「ポストモダンの条件」で、イデオロギーのような大きな物語の時代が終わったとした後に、
「自己はちっぽけで取るに足らない存在かもしれないが、無力ではない。
自己はネットワークの結び目にあり、お互いにメッセージをやり取りすることで、自らの位置を動かすことができる」
と述べました。結び目が動くことで、網全体も動くのです。
リオタールのこの言葉との出会いは、20年前に私が社会起業家の育成を始めた原動力でもありました。
2020年代は、20世紀の経済社会をめぐる「大きな物語」が次にシフトしていく時代です。
どのような世界になるのか、正解はありません。
だからこそ、対話が大切になります。結び目を分断せず、メッセージを多数やり取りし、個々が揺れ動くことで、
「ここに固定されているしかない」と思っていた人が、「動ける」と感じ、
そして、その人にとって、つながっている人にとって、より幸せな場所に動けるような対話が大切だと考えています。
そのような場が広がっていく令和の時代を、少しでもお手伝いできればと考えています。
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◆2◆今、改めて「男女の役割とは?」を考えよう
~育休後カフェ「なぜいまだに育休後は働きづらいのか?」#3
○ 6/7(金)19:00~21:00 @根津スタジオ ○
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「女性らしいリーダーシップ」と言われる時があります。
きめ細かな気配りなどの良い意味で使われたりしますが、では、リーダーシップには男女で違いがあるのでしょうか?
今も「男女の違い」「男女の向き不向き」は話題にのぼります。無自覚なうちに判断基準の前提になったりもします。
それが、知らず知らずのうちに、女性のキャリア選択や、育休後の働き方、仕事や生活での男女の役割分担に影響を与えているかもしれません。
「女性がフルに働き、男性が育休・時短を取るのは”変な”こと?」を切り口に、
男女の違いや役割分担について、自分や周り、会社は、どのように考えているか、改めて考えてみませんか?
*詳細・申込 > https://peatix.com/event/676917/
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◆3◆ 実践を通して学ぶ! 育休・復職後の働き方・キャリアを考える場のつくり方
(第5期)~育休後カフェR・ファシリテーターになろう!
○東京:6/23(日)10:00~18:00 など、 大阪:7/28(日)10:00~18:00 など○
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育休後コンサルタント(R)の山口理栄の知見・経験と、エンパブリックの場づくりノウハウを活かして、
育休後の働き方、キャリア、ライフスタイルを話し合う場づくりを講座と実践を通して学びます。
これまで33人が修了し、育休後カフェ(R)ファシリテーターとして企業内で、地域で対話を開催しています。
今回は、オンライン・プログラム、大阪での開催など参加しやすい工夫をしています。
「育休後」の悩みを抱える人が、自信をもって自分らしく働くきっかけとなる場を広げたい方、一緒に取組みましょう!
*詳細・申込 → https://empublic.jp/9324
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◆4◆ 暮らすのが楽しく、交流も豊かになる2040年の東京をつくるには?
シティラボ東京*エンパブリック 持続可能な東京を考えるワークショップ第4弾!
○ 6/21(金)19:00~21:30 @シティラボ東京(京橋)○
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「人が集まり、交流する。都市とは、本来、そうした場所のはずだ」
持続可能な都市を模索する建築家のピーター・カルソープは、ナショナルジオグラフィック日本版「世界の都市」(2019年4月号)で、こう指摘しています。
また、松谷明彦氏は著書「東京劣化」の中で、東京が2030年以降に人口減に転じる中で、
2040年には文化や情報の発信力、国際競争力が弱まり、生活環境も悪化するなど劣化が進む、と警鐘を鳴らしています。
ただ、私たちは変化のチャンスを手にしている世代でもあります。
実際に、世界でサステナビリティを重視した都市のリデザインが始まっています。
そして、新しいモビリティが広がる時代、自動車中心の都市計画から、もっとヒューマンサイズで、緑豊かな中で、
もっと暮らすのが楽しく、たくさんの交流のある都市へと東京をつくっていくことができるのではないか。
次の10年、20年、どのような持続可能な東京をつくっていける可能性があるのか、共に考えませんか?
詳細・申込> https://peatix.com/event/699979/
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◆5◆ゼミ「サステナビリティをビジネスで推進するための問いかけ力」
~SDGs時代の仕事・組織のイノベーションに求められる場づくりとは?」
○7/18~ 木曜夜 全3回○
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これまでのライフスタイルやビジネスの前提を見直し、次世代の経済社会システムにおけるビジネスへと自らを変えていくには、誰に、どのように問いかけることが必要か、共に探求しませんか?
このゼミでは、これからの成長戦略としてサステナビリティとビジネスの相互作用を高めていきたい方が、
SDGsやサステナビリティを関係者と共に考え、共に推進していくための問いかけ力を高めるために必要な知識を学び、対話を通して高めていくためのプログラムです。
これまで、新規事業担当、オープンイノベーション担当、ダイバーシティ推進担当、経営企画担当、
まちづくりNPO、建築家、デザイナー、ベンチャー経営者などの参加者が、それぞれの思いを持ち寄って議論を重ねています。
2020年代のビジネスのあり方を、ともに考える場に、ぜひご参画ください。
【木曜夜コース(3回)】 https://empublic.jp/9230
7/18、7/25、8/1 (木) 19:00~21:40
○ゼミ「問いかけ力を磨こう」-本質を探り、変化を生む場をつくるために
[日曜集中 後半3コマ] 6/30(日)9:30~18:00
[土日2日集中] 8/17(土)、8/18(日)9:30~18:00
☆欠席の回については、別コースへのふりかえが可能です。
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◆6◆編集後記
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令和に変わるときに、平成はどんな時代だったのかという特集が色々されていました。
Rikejoプロジェクトの担当として、理系女子にとってどうだったのか、調べてみました。
平成30年度の全学部生におけるリケジョの割合は、平成元年の4.2%から12.2%。
話題となった医学部も学生数は2倍に。
研究者数は、約5万人から約15万人(全体の15.7%)に。
平成の30年間でリケジョは大きく増えてたことがわかり、先人の方々の努力の積み重ねを感じました。
ただし、世界に目を向けると、研究者の女性比率は英国で約4割、米国で3割と、日本と差があります。
この差は、どこから生まれているのでしょうか?
「女子は数学や物理が苦手」といった意識が本人や周囲、家族などにあるのでしょうか?
「女性はこうするもの」といった思い込みを超えて、一人ひとりが自分の「好き」を見つけ、
自分らしく生きていける令和の時代になってほしいと改めて思いました。(矢部)
*「今、改めて「男女の役割とは?」を考えよう」(6/7開催 上記「2」)でも、一緒に考えましょう!
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株式会社エンパブリック メルマガ「根津の街から」
(第187号 2019年5月31日配信)
発行責任者=広石 拓司
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