empublicメールマガジン「多様な人がいるだけでは、多様性は活かされない」~根津の街から(2023年11月10日)

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◆1◆<広石コラム>多様な人がいるだけでは、多様性は活かされない
◆2◆【11/14, 16(2日程開催)】違いや多様性をポジティブに活かし、 誰もが自分らしくチャレンジできる社会・組織を 実現するために、今、理解しておきたい“DEIB”のこと
◆3◆【11/29 無料開催】育休からの職場復帰社員のオンボーディング成功のコツ~ 育休復帰後の意欲を決める復帰面談~寄り添うコミュニケーションを広げよう
◆4◆【12/6】これがしたい!楽しい!から始まる『まちづくり』とは? ~”私”から始まる街のイノベーションの進め方を先行事例から学ぼう
◆5◆empublic スタッフの気づき!
◆6◆編集後記
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紅葉も色づき、朝晩は冷え込む日も増えてきましたので、みなさま体調にはくれぐれもお気を付けください。
今回は、違いや多様性を大切にしあい、一人ひとりがいきいきできる組織や地域がどうしたらできるか、考えていく講座を紹介します。その中で、育休からの復帰を応援するプログラムもスタートします!(新村)

◆1◆<広石コラム>多様な人がいるだけでは、多様性は活かされない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「多様な人が活き活きできる組織・地域をつくることが大切だ」という言葉はほとんどの人が賛同するでしょう。
しかし、もしあなたが人種や育った環境も違うし、お金儲け重視や社会貢献重視など仕事で重視することも違っているし、仕事とプライベートの優先度の付け方も違うといった“多様な”人が集まったグループのリーダーを任されたとしたら、どうでしょうか?
ワクワクする人よりも「大変そうだな。できれば避けたいな」と思う人の方が多いのではないでしょうか?

「多様である」ということは、「“違い”が(種類も量も)たくさんある」ということです。
それは「自分にとっての当たり前や大切にしていることが、簡単には共有できない」ということを意味します。
つまり、「多様性を受け容れる」には「自分の思う正しさ以外も含めた多様な正しさを受け容れる=自分を相対化する」ことが求められます。
その結果、「自分の周囲の多様性が高まる」ことによって「自分が脅かされる」と感じてしまう人を増やしてしまうことがあります。

例えば、「夫婦別姓」の推進派の人からは「私たちが別姓を選びたいだけで、それを望まない人に強制するつもりはないのに、なぜ反対するのだろう」という声を聴きます。
確かにその通りなのですが、「夫婦別姓が公的に認められる」ことによって、自分の信じてきた「家族とは?」の価値観が絶対ではなく相対化されることで、自分が脅かされるように感じ、強く反対する人が生じます。

このように、社会、組織の多様性が高まることで、思わぬところで不安や不満、ストレスを増やし、その結果、対立や分断に陥ってしまう。それが今、世界各地で、日本の中でも起きています。

20年来のダイバーシティのテーマの「子育てと仕事の両立」についても、そうです。
人手不足で売上も厳しい中、ちょっと無理してでも頑張ろう!という職場で、「子どもが保育園で急に熱を出したので帰ります」となると、「え?」という人が出てきて、帰る人も「申し訳ありません、ご迷惑をおかけして・・・」となります。
そこで肩身の狭さを感じてしまうと、「子育てしながら働くのはしんどい」という気持ちが自分にも組織にも蓄積していくことにもつながるでしょう。

組織や地域の多様性を高めるだけでは、ストレスも高まり、それが逆に差別を生じさせたり、分断につながることもある。
この問題意識から、多様性(Diversity)推進には、「DEIB=Diversity, Equity(公平さ), Inclusion(包摂性), Belonging(所属感)」が大切だという考え方が広がってきています。

最後のB=Belongingは「それぞれ違いはあるけど、同じ組織・地域の一員だよね」ということを確認しあい、実感できるようにしようということです。
ただ、同質な集団だとみんな一員と感じやすいのですが、「“違う”人が、それでも自分が一員と実感できるコミュニティ」をつくるのは単純ではありません。
そこには、違いを越えてつながるSocial Intelligenceであり、ソーシャルスキルが必要です。

この「B」の部分にエンパブリックの蓄積してきた知見を活かしていただきたいと考えています。
DEIBやソーシャルスキルの学びに加えて、「育休からの復帰」というテーマでプログラム展開も進めていきます。
ご参加いただき、みなさんのご意見も、ぜひお寄せください。

◆2◆【11/14, 16(2日程開催)】違いや多様性をポジティブに活かし、 誰もが自分らしくチャレンジできる社会・組織を 実現するために、今、理解しておきたい“DEIB”のこと
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
DEIBという言葉が生まれてきた背景とそれの実践に必要な考え方、技法を、コミュニティ・デザインの考え方も応用しながら一緒に考えてみませんか?

<開催日> 11月14日(火)20:30~22:00 、16日(水)10:30~12:00
※同じ内容を夜・昼で2回開催します
・詳細・申込 https://peatix.com/event/3719243

◆3◆【11/29 無料開催】育休からの職場復帰社員のオンボーディング成功のコツ~ 育休復帰後の意欲を決める復帰面談~寄り添うコミュニケーションを広げよう
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
育休などの制度を整備しても、働く女性の個性と能力を十分に発揮できているとは言えない状況があるなら、コミュニケーションを見直してみませんか?
職場復帰面談において、上司の「とにかく家庭を第一に」という一言が、復帰社員に「今の私は働き手としては期待されていない?」と感じさせ、意欲の低下につながることも。
今、育休やダイバーシティには「制度」と「理解・気遣い」の次のステップとして、相手への向き合い方を整え、言葉にして伝える技術(ソーシャルスキル)が求められています。
子育てをめぐる社会環境の変化の中で、今何が求められているのか。どのようなアクションが必要なのか。「育休後」に10年以上携わってきた山口理栄さんからの解説を基に考えます。

<開催日>11月29日(水)10:00-11:00 オンライン開催
〇プログラム:
1)仕事と子育ての両立に求められることは、この10年でどう変わったのか?
山口理栄さん(育休後コンサルタントⓇ)
2)復帰社員コミュニティサーベイから見えること~コミュニケーションの質を高めよう
3)なぜ育休復帰Day1プログラムなのか?
〇参加費:無料
〇詳細・申込はこちら:https://peatix.com/event/3754299/

*本イベントは、来春の育休復帰者を支援するためのエンパブリックのプログラム育休復帰Day1プログラム のイントロダクションとして開催します。
育休復帰Day1プログラムの紹介 https://empublic.jp/ikukyuugo1

◆4◆【12/6】これがしたい!楽しい!から始まる『まちづくり』とは? ~”私”から始まる街のイノベーションの進め方を先行事例から学ぼう
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街も社会も、”人”によって、できています。だから、”人”がどう動くかによって、街や社会も良くも悪くも変わっていきます。
「まちをつくる」という第3者視点の”まちづくり”から、そこにいる人が「これがしたい!」「楽しい!」と思って動くことが「ポジティブなまちをつくってしまう」”まちづくり”へ。先行事例の地域がどう動き出したのかをヒントに、私たちに今、何ができるか、一緒に考えてみませんか?
エンパブリック代表の広石が出会ってロールモデルとしてきた「ブロムリ・バイ・ボウ・センター」「ソンミサン・マウル」の始まりからのヒントも紹介していきます。

<開催日> 2023年12月6日(水)20:30~22:00
詳細・申込 https://peatix.com/event/3758539/

◆5◆empublic スタッフの気づき!
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empublicのスタッフが、日々色々な現場でみなさんとの対話を通して得た気づきをレポートにまとめています。ぜひ、ご覧ください。

〇普段言葉にできない感謝を相手に伝えるには?―ラジオ【Find the Questuion#51】~瀬沼希望
https://note.com/empublic/n/nedf683aaea7a

〇私が楽しく100回学び続けられたワケ〜ランチワークショップのつくり方〜渡邉さや
https://note.com/empublic/n/n625e7b0450b4

〇他の誰かにとっては私も”多様”な一人!~新村絵美
https://note.com/empublic/n/n30b5fed79913

〇これからの時代に”自分のキャリア”をどう考える?-ラジオ「empublicの一語一歩」~新村絵美
https://note.com/empublic/n/ne04d00080702

*広石によるラジオ・コンテンツ「empublicの一語一歩」 毎週木曜新エピソード配信中!
・#15 「受援力」~「助けたい」と「助けて」がポジティブに響きあうには?(11/9)
・#14 「アップサイクル」~ かわいい!ほしい!がサステナブルを進める(11/2)
・#13 「ワークショップ」~“作業場”は、どうしてまちづくりやビジネスに広がったの?(10/26)
*Spotify、Apple Podcastからお聴きください!
・Spotify https://open.spotify.com/show/4gRXIw1HxACPrFMfI83HKZ
・Apple Podcast https://podcasts.apple.com/us/podcast/empublicの一語一歩/id1703535449

◆6◆編集後記
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小平市中央公民館勤務時代、エンパブリックへ学習支援を依頼して、このメルマガを読んで約10年・・・!? ついに私が編集後記を書くことになりました!・・・さて、先月、大田区主催の「区民活動コーディネーター養成講座(全5日間)」
の初回があり、スタッフの矢部さん・高橋さんと共に事例紹介や大切にしていること等をお話させていただきました。
過去に数年間にわたって行われてきた講座のため、「フォローアップ」と「コーディネーター場づくり体験」を行うものです。
学んだ年度も活動する分野(学校、文化、防災、自治会など)もそれぞれの地域住民の皆さまが集まりました。
さっそく、「(年度を超えた)縦のつながりが必要」「まずはコーディネーター同士が連携」などと、まさにコーディネーターならではのご意見がたくさん生まれました。
コーディネーター的視点を持つ住民が多い地域は、活動が盛んです。こうしてじっくりコーディネーターの皆さんの学びを支援していけるのは、「参加者×1000人くらいの効果」があると信じて、
私は取り組んでおります。(萩元直樹)
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株式会社エンパブリック
メルマガ「根津の街から」
(第234号 2023年11月10日配信)
発行責任者=広石 拓司