empublicメールマガジン 「住宅地」にはパラダイムシフトが求められている~根津の街から(2025年10月10日)

メールマガジン、少しご無沙汰してしまいましたが、今年の暑い夏が過ぎ、10月に入って過ごしやすくなってきました。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
エンパブリックでは、改めてつながりやコミュニティ、対話を探究するプログラムを準備しています。
第一段として「住宅地のコミュニティ」を講座と現場訪問から考えるプログラムを実施します。
地域を改めて見直し、ヒントにつながる学びの機会として、ぜひご活用ください。 (中村)

―<INDEX>――――――――――――――――――――
◆1◆ 【広石コラム】「住宅地」にはパラダイムシフトが求められている
◆2◆ 多摩発! 住宅地コミュニティの未来戦略
〇まち商いが地域のつながりからどんどん生まれる!~シェアキッチンMIDOLINOの商店街の可能性を活かすコミュニティ・コーディネートの進め方
〇医療・福祉とさりげなく隣り合うコミュニティを実現するコーディネーターとは?~~医療・福祉/人/まち のつながりを考えよう
◆3◆ ≪谷根千に来よう!≫まちあるきトークアプリを使って、谷根千お散歩をしませんか?(10/26開催)
◆4◆ empublic Studioラジオ
「一語一歩」に加え、「ニュースの扉」が始まりました!
◆5◆ 【東京都市大学イベント・広石登壇】住み続けられるまちづくり~好循環を生み出す地域のエコシステム共創戦略を水戸ホーリーホックのGXから考えよう!
◆6◆ 編集後記&活動レポート「信州 つながりデザイン・ラボ」開催!
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◆1◆【広石コラム】「住宅地」にはパラダイムシフトが求められている
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日本の都市部の人口拡大を支えてきたのは住宅地でした。
住宅地は「マイホームを建て、家族で安心して暮らすまち」として、多くの人が憧れを抱き、住宅を建て、まちをつくってきました。静かな環境にある住宅に家族で住み、公園や学校が近くにあり、近所の人とも自然に交流している——そんな暮らしが豊かさの象徴と考えられていました。
ただ、日本の成長期に住宅地の前提には「会社員世帯+専業主婦+子ども」という家族モデルがありました。しかし、現在では前提が大きく変わり、住宅地の姿も変わってきています。

共働きや単身世帯が増加したことで利便性が以前よりも重視され、駅近くかどうかで住宅価格の差が広がり、マンションや都心を望む人も増えてきました。
数十年前に開発された住宅地には新しいファミリー世帯は増えず、少子高齢化が加速しています。空き家も急速に増え、地域課題となっています。
その状況は、住宅地の身近にあった小さな商店街や地元スーパーの衰退にもつながっています。地元の店は単に商品販売だけでなく、暮らしの身近な場所で住民が集い、顔を合わせる場でもありましたが、そのような地元での出会いも難しくなっています。
さらに、塀や庭、駐車場で区切られ、プライバシーを重視して設計された郊外住宅の構造は、偶然の立ち話や声かけを生みにくくし、物理的な距離が心理的な距離にも影響します。高齢者の一人暮らしの様子が周りから見えづらい状態は、犯罪を起こしやすくもしています。
地域活動を担ってきた自治会の高齢化が進み、若い世代の参加が進んでいません。その結果、地域行事や子ども会など地域の人が関わる機会が減少し、日中に近隣で顔を合わせることも減っています。

こうした状況の中で、郊外住宅地には“つながりの再デザイン”が求められています。
かつては比較的同質な世帯が集まり、自然とつながり、まちが活性化することがコミュニティづくりの前提でした。
生活や価値観の多様性を前提に、テーマや関心を軸にした「つながるきっかけ」をつくり、そこから関係性を育てていくコミュニティ醸成へとパラダイムをシフトする必要があるのです。

このような背景から、今回、「住宅地コミュニティの未来戦略」を企画しました。
20世紀後半に東京、首都圏のへの人口集中の推進役であった多摩地域を舞台に新しいチャレンジをする活動を軸に、これからの住宅地におけるコミュニティづくりに何が必要か、どのようなコーディネーターが必要なのかを考えたいと思います。
実践事例を学ぶだけでなく、現地訪問で土地の空気、人の様子も理解しながら、改めて「これからの時代の地域のつながりとは?」を考えていきたいと思います。

◆2◆ 多摩発! 住宅地コミュニティの未来戦略
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〈1〉まち商いが地域のつながりからどんどん生まれる!
 ~シェアキッチンMIDOLINOの商店街の可能性を活かすコミュニティ・コーディネートの進め方
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武蔵野市のグリーンパーク商店街の空き店舗を改装したシェアキッチンを、「食に関するビジネスをやってみたい人が自分の商いを試せる場」「食をきっかけとした親子向けイベント、交流の場」の拠点として活かすことで、商店街や地域に出店する人が増え、地域の新しい交流を生み出している取り組みです。

〈2〉医療・福祉とさりげなく隣り合うコミュニティを実現するコーディネーターとは?
~医療・福祉/人/まち のつながりを考えよう
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理学療法士の糟谷明範さんは府中市の多磨霊園地区に、訪問看護、居宅介護支援、カフェや空き家を活用したコミュニティ拠点の3つの事業を展開する「Sync Happiness」の事業を立ち上げました。そこで、「ケアを特別なものにしない」という視点で、 地域に自然なつながりを生み出す仕組みを試行錯誤しながら実践しています。

<スケジュール>
〇オンライン講座
・MIDOLINO 10月15日 (水) 20:00~21:40
・Sync Happiness 10月22日(水)20:00~21:40
〇フィールドスタディ+セット講座(11/8~9)
・11月8日(土)10:00~12:00
対話「イマドキのコミュニティに必要なコーディネーターの役割は?」
(ナビゲーター 広石拓司)
・11月8日(土)13:30~16:30 府中市多磨霊園地区 Sync Happiness現場訪問
・11月9日(日)14:00~18:00 三鷹市緑町 MIDOLINO訪問+子ども食堂参加
<参加費>
セット価格:一般 11,000円(税込)、empublic Studioメンバー 7,700円
*個別プログラムへの参加も可能です。
<詳細・申込>
〇多摩発! 住宅地コミュニティの未来戦略(セット申込)
https://peatix.com/event/4621127
〇まち商いが地域のつながりからどんどん生まれる!(武蔵野市 MIDOLINO)
https://peatix.com/event/4613620
〇医療・福祉とさりげなく隣り合うコミュニティを実現する(府中市 Sync Happiness)
https://peatix.com/event/4613884

◆3◆ 「お散歩トークカード」を使って、谷根千まちあるきを楽しもう
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都心ながら下町風情の残る谷根千(谷中・根津・千駄木)はお散歩スポットとしても大人気なエリア。毎年10月には「芸工展」という街全体が様々なワークショップやイベントで賑わいます。
その街の散歩で街を知り、おしゃべりが楽しくなる「お散歩トークカード」アプリをエンパブリックでは開発しています。
まちの中にある「対話のきっかけ」をアプリで地図と結びつけることで、地域を舞台とするコミュニケーションを活性化する。
まちを楽しみながら、新しいまち活動のヒントを得てみませんか?

まちあるき体験会を10月26日(日)14:00~16:00に開催します。
*アプリ紹介&体験会参加登録 https://empublic.jp/gkt25

◆4◆empublic Studioラジオ
 「一語一歩」に加え、「ニュースの扉」が始まりました!
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〇毎週一つの「気になる言葉」を取り上げ、今の社会を考える代表広石のラジオ型番組で
す。「一語一歩」で新たな視点を手に入れてみませんか?
SpotifyとApple Podcastなどで配信中。「一語一歩」で検索を。
https://open.spotify.com/show/4gRXIw1HxACPrFMfI83HKZ?si=27b68eaff0f040c5
#108「シビックプライド」、#107「構文」、#106「界隈」
#105「市民として生きる」、#104「社会教育」、#103「伝統」、
#102「対話疲れ」、#101「言語化」、#100「パブリック」

〇「ニュースの扉」始まりました!
多様な分野で活動するempublic Studioメンバーが、それぞれの視点から「気になったニュース」を持ち寄り、その背景にあるストーリーや課題を掘り下げ、これから社会で考えたいことを問いかけます。
Spotify、Apple Podcastなどで配信中。「ニュースの扉」で検索を。
https://open.spotify.com/show/3ZKm2pNyQCT7dKI1L1XK0W

#4「孤独・孤立を感じる人が増える社会で何ができる?」NPO法人ソンリッサ代表理事萩原涼平さん
#3「葬儀・火葬にかかるお金 知ってますか?」NPO法人エンディングノート普及協会理事長赤川直美さん
#2「日本の人口減少、身近な暮らしへの影響は?」NPO法人市民プロデュース理事長平田隆之さん

◆5◆ 【東京都市大学イベント・広石登壇】住み続けられるまちづくり
~好循環を生み出す地域のエコシステム共創戦略を水戸ホーリーホックのGXから考えよう!
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脱炭素や循環経済が求められるこれからの時代には、これらの要素を統合的に捉え、セクターや分野を超えて協働することで、持続可能な地域を共に創っていく視点が不可欠です。
本セッションでは、「好循環を生み出す地域のエコシステム共創戦略」をテーマに、縦割りの発想を超えて多様な主体が連携し、お互いに生き、生かされる地域の“生態系(エコシステム)”を構築するための方策を探ります。
事例として、Jリーグの水戸ホーリーホックのGXプロジェクトも紹介。サステナビリティ、地域づくり、スポーツクラブの相互作用を考えます。
*詳細・申込 https://peatix.com/event/4605318

◆6◆ 編集後記&レポート「信州 つながりデザイン・ラボ」開催
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長野県「まちむら寄り添いファシリテーター」は、地域で暮らす住民として、身近な人々の声に耳を傾けながら、地域の課題やこれから必要なことを話し合う対話の場のつくり手です。
今年度は【信州 つながりデザイン・ラボ】として、信州各地で地域の声に耳を傾け、つながりを生み出すことに挑む人同士が出会い、学びあうプログラムを進めています。
〇プログラム紹介 https://nagano-machimura.net/about_machimura

10月2日・3日に2日間のギャザリングを、住民視点で参加や協働を考え、自身の活動をブラッシュアップする参加型プログラムとして開催しました。
2日間のギャザリングでは、参加者同士の聞き書きやミッション設計、地域課題の深堀り、新しいアイデア開発を通して、自分の活動や想いを改めて言語化しました。
また、信州各地の先進的な事例を参加者と一緒に分析し、「事例から何を学び、どう自身の活動に活かすか」について体験しました。

参加者同士の交流は、オンラインツール「evawat」を活用し、そこで事前の自己紹介していたことで、初対面とは思えないほど積極的に、温かい対話や交流の場となり、お互いの思いや活動の工夫を深く知ることができました。
プログラムでは「デザイン思考」という考え方を取り入れましたが、実はみなさんが日々の活動の中で自然に実践されていたことだという発見もありました。
その気づきを通じて、自分の活動の価値を改めて感じていただけたように思います。

ご興味ある方、長野に関わっている方で関心ある方、ぜひ事務局までお問合せください!
https://nagano-machimura.net/inquiry
(片山)

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株式会社エンパブリック
メルマガ「根津の街から」
(第251号 2025年10月10日配信)
発行責任者=広石 拓司
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皆さまのご意見・ご感想お待ちしています。