開催レポート 6/17(金)縁パブ「日本の若者の自己効力感は低いの?」
6月17日(金)、「日本の若者の自己効力感は低いの?」をテーマにした縁パブを開催しました!
縁パブとは、立場、世代、専門が異なる人たち(5~10人)が集まり、お互いの意見から考えを深めていく対話の進め方です。
縁パブについて、詳しくはこちら→【ワークショップ】縁パブ ~ 問いかけあい、話を深める対話
オープニングクエスチョン
まず、ファシリテーターの広石から平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(内閣府)の結果をご紹介したうえで、「日本の若者の自己効力感に一番影響を与えているのは?」というオープニングクエスチョンについて、皆さんの考えをお聞きしました。
● 親子関係。日本の場合、「親に愛されている」と答えた人の数が少ないのが気になった。
● 成績についてはほめられるけれど、その人にしかない個性についてほめることがあまりない。「わたしはこれで良い」と思える判断基準が、自分ではなく他人にある。
● 家庭環境(育ち方)が関係しそう。「何を周りに言われても大丈夫」と無意識に思える何かがあるかどうか。
● 国。自己主張したらつぶされるという雰囲気がある気がする。
● 実力(だと自分が思っているもの)があるかどうか。いざという時に求められることが自己効力感につながる気がする。
● メディアからの影響や、周りとの比較により葛藤してしまうことはよくあるのでは。どうしても自分の市場価値が気になってしまったり。
といった意見が挙がりました。
また、「自分の実力やスキル」に関しては、
● うまく行くチームには必ず「さすが!」とほめる人がいる。
● 目に見えない、数字以外のものを評価される機会があまりないのでは?
といった声も。
それぞれの経験によって、視点はさまざま。今日はどんな対話が繰り広げられるでしょうか?
みんなで話したいお題は?
さて、縁パブの特徴は、その日みんなで話したいお題を参加者同士で出し合い、みんなで決めること!
みんなで吟味した結果・・・、
1)なぜ自己効力感を考える時代なのか?(背景)
2)自己効力感がキャリア選択や周りへ与える影響は?(個人)
3)いまの時代に「ほめる」「評価」はどうしたらいい?(評価)
という問いを中心に、対話することになりました!
今日の対話のポイント
今回もユニークな意見がたくさん飛び交いましたが、以下、ポイントをいくつか絞ってお伝えすると・・・
Q. なぜ自己効力感を考える時代なのか?
● これまでは、会社のレールがあった(=生きるために働く)が、今の時代は自己責任の部分増えたため、自分のことを考えざるをえない状況なのでは。
● 日本的労働慣行が弱まってきた(会社が自分の人生を最後まで面倒見てくれるわけではない)ため、愛社精神を持ちたくても持ちづらく、「何のために働くのか?」を会社を通して実現できると思えない人が増えているのかもしれない。
↕ この狭間が自己効力感の揺らぎ?
● じゃぁ全部自分でやってね、とうまく行くかというとそれも難しい・・・
Q. 自己効力感がキャリア選択や周りへ与える影響は?
ここでは、「(敷かれた)人生のレール」ってなんだ?という話に。
● 自分のやりたいことと、これまで走ってきたレールが違うと思っても降りるのが難しく、葛藤する。
● やりたいこととレールが一致している(=「たまたま沿線に住んでいた」)こともあり得るだろう。
● とりあえずレールに乗っかるのも一つの手なのでは?
など、なかなか面白い対話に。
自己効力感がある人は、周りにどう影響を与えるのか・・・というテーマについては、答えは出なかったものの、「自己肯定感」と「自己効力感」の関係について話していたところ、とても興味深いことがわかりました。
参加者の皆さんに「自己効力感と自己肯定感、自分のレベルを1~4で表すと?」と尋ねてみたところ、必ずしもその2つのレベルが一致しない(たとえば、自己効力感が高くとも自己肯定感は低い場合もある)という結果となったのですが、
自己効力感が比較的高い人=割と「根拠」のない自信がある=失敗への寛容度が高い(10回やって1回成功すればOK)
→「10回やって1回成功すれば・・・」派の方々の持つ「成功」のイメージは「なんとなく」でしかなく(笑)、逆に、
自己効力感が比較的低い人=失敗がこわい=成功のイメージが明確にある(完璧主義)ので、未来に不安がある
のかも??と。
そもそも人によって「成功」と「失敗」の幅の広さが異なるのが面白いですね!
~次の問いに入る前に、一旦中間ふりかえりの時間~
● 自己効力感、自己肯定感の高低タイプによって褒め方違う?
● 会社よりも、ボランティアで関わっているNPOの方がみんなのハッピーを考えられるのは、評価が絡んでないから?
● 「成功」と「失敗」の幅がみんな違う!立ち止まる勇気も必要。
● 完璧主義だけど未来へのやる気がある人ってどんな人?
● 自己効力感の備わり方とは?(小さな成功体験を積み重ねても自分を認められるわけではない)
● 自己効力感が高い方がいい、というわけではない?低いことの価値もある?
など。ここまでの気付きや疑問についてシェアしました。
Q. いまの時代に「ほめる」「評価」はどうしたらいい?
~未知な状況、変化する状況で活躍できる人をふやすような評価(ほめ方)とは?
● 見えない結果の評価をもっとするべきなのでは。
● 自己評価の機会があってもいい?
● 誰から評価されるかが大事。たとえば、(周りに何と言われようと)家族からの評価はぶれない。
● ポジティブなことを「あえて」言う。小さなことでもとりあえずほめる。それがたまに偶然相手にヒットするかも。
●本人が気付いていないところを褒めるだけで元気になる。(自信をつけるために)褒めてもらえる場所に行くのも手。
といった「ほめ方」についての話があった中で、
● 「ほめる=上から目線」と感じてしまって、「自分がちゃんとしてないと褒めちゃいけない」と思ってしまうことがある
という意見もありました。
確かに「ほめる」と言うとそういうイメージもあるかもしれませんが、「いいことを口にする、共感したことを口にする」だけでも良いのでは?という声も。
無理にほめようと考える必要はないのかもしれませんね。
ふりかえり:今日の気付き
2時間があっという間に過ぎ、最後のふりかえりの時間です!下記の気付きが参加者のみなさんから出されました。
● 日本の若者の自己効力感は、別に低くはないと思う。個人の判断だからそもそも国際比較する必要ないかも?
● 「ほめる」ではなく「いいことを口にする」ことも大切だと感じた。
● レールや育ち方によって、どうしても自己効力感に差は出る。でも働き方に「?」が生まれ、自分を見つめ直す時代になってきているのでは。(個人的に)「成功」イメージをゆるめて考えてみたい。
● 自分では自己効力感は低いつもりだったが、今日この場に参加してみて、そうでもないかもと思い始めた。きちんと対話すれば「実は高い」人もいるのでは。
● 調査結果はあてにならない。「いま、楽しい」という感覚に注目してみようと思う。
● (日本人は)ほめられる/認められることに慣れていない。結果だけでなく、プロセスでいいところがあったら口にし合う!
また、終了後のアンケートでは、
「なかなかニッチな?テーマを真面目にディスカッションする(かつ楽しく)場が無いので、とても面白かったです!」
「あんまり普段接している友達とこうした話にはならず、仕事の友達とでも知識の共有というのが多いのでこうした人間の本質のような話が出来てとても嬉しかったですし楽しかったです。」
「対話を通して新たな自分に気づかせてもらいました!」
といった声をいただきました。
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いかがでしたか?
これからもエンパブリックは、「そうそう!そのテーマで話してみたかった」という問いかけをし、対話を通じて深めていくプログラムを企画していきたいと思います。本レポートのご感想や、今後開催する講座やワークショップのリクエストがありましたら、ぜひお気軽にご連絡くださいね。
Eメール:info[アットマーク]empublic.jp
【次回予告】
6/30(木)19:00-22:00に「複数の収入源があるとできる生き方は?」というテーマで縁パブを開催予定です!
お申込みはこちらから⇒http://peatix.com/event/172427/