”実現したいこと”への信頼を集める事業報告を作ろう
実績と未来への意思をつなぐストーリーが伝わるレポートの作り方
組織やプロジェクトが何をしてきて、これから何をしていくのか。それが、どのような価値を社会や顧客にもたらすのか。
事業を運営する人には、それを支援・協力してくれる人に対して説明する責任があります。
組織・事業の実績や考え方を事業の関係者(ステークホルダー)と分かち合うのが、年次報告書の役割です。
これまで報告書というと「実績」について数字とその考察をまとめるのが主な役割と考えられてきました。
それは実績と収益が信頼の最大の根拠となったからです。
しかし、社会の変化が激しく、先が見通せない時代には、昨日まで業績の良かった企業が、突然悪化してしまうかもしれません。企業が持続していくためには、実績と数字だけでは不十分と考えられるようになり、実績だけでなく、目指していること、姿勢、リスクの考え方までを一貫したストーリとして伝えることが求められるようになりました。それが、「統合報告」と呼ばれる動きにつながっています。
統合報告は、日本では財務報告とCSR報告の”結合”報告書となりがちですが、国際的な統合報告のガイドラインが示しているのは、企業の基盤となる「資本」はお金だけでなく、人、社会・関係、自然も含めて考える必要があり、その6つの資本を増やす価値創造の仕組みについて、幅広い関係者とコミュニケーションするツールが報告書だという考え方です。
この統合報告の考え方は、大企業だけではなく、中小企業にも、NPO、社会起業家らにとっても、とても使える概念です。
現状から、自分の「実現したいビジョン」に、どのように道筋をつくっていくのか。そのために自分たちの考えと、実績・現状、ビジョンへの道筋をどう結びていくのかという戦略ストーリーを伝えていくことによって、投資、助成金、寄付などを集めていくためのコミュニケーション・ツールとしての報告書の可能性を考え、自分たちでも使いこなせるように工夫してみませんか?
このゼミでは、「概論講座」で、現状と未来をつなぐ報告書に求められることは何かを考えます。そのうえで、「ワークショップ」では、統合報告の考え方を、小規模な組織が使いこなすための視点とフレームワークを使って、自分たちの活動でどう活かすのか考えていきます。
年度の真ん中にあたる今の時期から、今期のレポートについて何を、どう準備していけばいいか、共に考えてみませんか?
ゼミを通して身につけること
- 結果報告から戦略的なコミュニケーションツールとしての報告書の活用方法
- 持続的成長に向けての統合報告の基本的な考え方
- 実現したい成果に向けて事業の強化すべきポイントを整理する手法
- 社会的インパクトに結びつけたビジネスモデルのまとめ方
- 事業への信頼を高める情報発信のまとめ方
プログラム
〔概論講座〕「次への信頼を高めるレポートをつくるには?」 (10:00~12:30)
信頼を獲得するために、事業報告で何を大切にしないといけないか、
統合報告の考え方の前提にあるもの、事業報告書の事例も踏まえて検討します。
〔ワークショップ〕「戦略的なレポートづくりのために」 (13:30~17:00)
8つの視点からレポーティングに必要なことを先行事例を踏まえて学び、
自分たちの団体ではどう進めていけばいいか、落とし込んでいきます。
- 実現したい成果、社会的インパクトと価値創造を考える
- 自分たちの6種類の資本を整理しよう
(資金、ハード、知識、人、社会・関係、自然) - ビジョン実現への長期戦略ストーリーをつくる
(どのように6種類の資本を強化すれば実現できるのか?) - ステークホルダーが「知りたい事」を整理しよう
- 事業のリスクを整理しよう
- ビジネスモデルをまとめよう
(関係性、インプット・アウトプット・アウトカムから考える) - 事業の実績と見通しをまとめる視点
- レポートで伝えるコアをまとめよう
- ふりかえり:次のレポートづくりに向けて何を準備する?
こんな方におすすめ!
- 事業を目指すことを整理し、協力者・支援者を増やしたい
- NPO、社会起業などのアニュアルレポートの質を高めたい
- 企業で「より伝わる」統合報告の作成方法を考えている
- 社会的インパクトを重視した事業モデル整備と情報発信を考えている
- クラウドファンディング、寄付、会員制度などのレポートを作成する
実施日
2016年9月25日(日)
10:00~12:30 〔概論講座〕「次への信頼を高めるレポートをつくるには?」
13:30~17:00 〔ワークショップ〕「戦略的なレポートづくりのために」
参加費
- 12,500円 (税込、資料費、茶菓付)
- 午前「概要」のみ 4,500円