empublic for business

今、ビジネス環境は大きな変革期を迎えています。2020年代に起きる変化は、IT革命と言われた2000年前後の変化を上回ると予想されています。AI、IoTなどの技術進化に加え、シェアリングエコノミー、そしてサステナビリティ(環境・社会の問題への対応)など、多数のキーワードが出されています。

しかし、この変化は、20世紀型の経済社会・市場の仕組みでは実現できなかった「より意義ある仕事」を実現するチャンスということもできます。だからこそ、「今だからこそつくることができる自分たちが最高の仕事とは?」を問いかけ続けることが、一人ひとりにとっても企業・組織にとっても最も大切なことだと私たちは考えています。

1.あなたのビジネスにとって 最高の仕事 とは?

あなたのビジネスにおける「最高の仕事」って何でしょう?

「最も儲かること」「最も高価格のもの」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、それは、本当にお客様にとっても“最高”なのでしょうか? 「自分達が商品(モノ、サービス)を提供し、利益を得たら、顧客はどうなろうと関係ない」という仕事は、本当に自分が笑顔で働き続けることができるのでしょうか?  そして、その仕事は「誰かに役立ち、社会に役立つ」という気持ちを満たしているのでしょうか?

例えば、「自社史上最高の商品」というCMは、いったい誰にとっての”最高”を訴えているのでしょうか? 「絶滅危惧種の生物の毛皮をたっぷり使ったコート」に対して高額を払う顧客がいたとして、それは本当に”最高”の商品を提供しているのか? 「ほしい人がいるのだし、お金が動くならいい」という発想に留まっていいのでしょうか?

タイルカーペット企業インターフェイスの考える最高の商品とは?

empublicでは、最高の仕事が生み出す「最高の商品」のポイントとして次のようなことがあると考えています。

  • なぜ生まれ、何を目指しているのか、利用者が共感できるストーリーがある

  • モノだけでも、サービスだけでも、情報だけでもなく、それらを総合して「よい体験」を生み出せること

  • 商品を作る過程に携わる人、提供する人、利用する人、利用後に関わる人がつながりを感じ、笑顔になれること

  • 商品を通して社会・経済・環境のポジティブな未来を感じ、商品を使うことでその実現に貢献できると感じられること

  • お客様がより質の高い体験を、より手軽に実現できるように機能・性能・仕様がコーディネートされていること

2.会議室での議論を超えて、顧客、社会と共につくる

これまでの事業開発は、ともすると社内での議論で、”間違いのない”計画をまとめることが重視されてきました。顧客ニーズ調査をしたとしても、同僚や上司との社内での議論の時間の方が、外部で顧客や第3者と話す時間よりも、ずっと長くなりがちでした。

社内での議論が多くなるのは「自社の商品とその機能が、顧客に何を与えるか」が重視されてきたからです。しかし、「顧客は、どのような状況で、何を価値ある体験と考えて商品を選び、利用するのか?」に変化しています。

”最高の商品”への活きたニーズを把握するには、事業計画の検証や完成に時間をかけるよりも、現場での体験や試行を通して「現場で、今、何が起きているのか? 何が課題なのか?」「何が顧客や社会にとって本当の価値なのか?」への理解を深める必要があります。

リクルート社の社内事業計画コンテストは「じゃらん」「ゼクシィ」などの新事業の開拓に成功し、評価されていました。しかし、2014年に年1回の事業計画コンテストをやめ、アイデア・ピッチを毎月開催し、ステップアップしていく「Recruit Ventures」に転換しました。(その背景や取り組み方を、地産知縁第3号で紹介しています)

”間違いのない”計画をつくるよりも、アイデアを実用最小限の形で試行し、早く小さく失敗しながら実効性の高い事業を開発する「リーン・スタートアップ」の実践が求められています。

社会課題解決型事業を生む場づくり~日野リビングラボの実践より

CSVや社会課題解決型事業を掲げながら、実現に苦労している企業も少なくありません。近年では、オープンイノベーションを掲げて事業開発を行う場合もあるが、企業の事業開発担当者が中心になって、会議室やワークショップスペースでの議論を進めている場合が少なくありません。

社会課題解決型事業は、社会問題が起きている地域が現場で、現場の人と対話し、共に試行錯誤することによって生まれます。そんな中、地域を舞台に、市民や利用者と継続的なコミュニケーションを取りながら商品・サービスを共創していく場が「リビングラボ」として注目を集めています。

エンパブリックでは、日野市との協働で、企業・住民・行政が対応に参加し、共創する場づくりに取り組んでいます。

エンパブリックでは、多様な現場での起業支援の経験を基に、顧客や社会との対話を通して事業を開発するリーンスタート型のステップを実行するために必要なプログラムを開発してきています。

3.2020年代にビジネスに求められるコミュニケーション

これからの最高の仕事を考える前提となるのが、「企いったい自分たちの会社が生み出すべき価値は何か?=この商品何のために存在するのか?」という意味です。
企業の存在目的は「お金を稼ぐため」と言われてきました。しかし、2020年代、パリ協定による脱炭素、SDGsがビジネスの前提の時代に、企業や商品に求められるコミュニケーションも変化してきます。

顧客、社会と成長ストーリーを分かち合う

ESGや統合報告を、「求められる義務や責任を果たす」ためとして行うと、いくらきちんと対応できたとしても「コスト」にしかなりません。株主も社会も、ESGや統合報告への対応そのものには関心ありません。関心あるのは、その企業が「自分たちは事業の前提となる外部環境の変化をどう捉え、それに対してどう中朝的敵に成長できる戦略を立て、準備しているのか。そして、それを実行できる組織となっているのか」です。ですから、大切なのは「どう洞察したのか? それを誰と、どうコミュニケーションして進めていったのか?」です。

今の社会にあるリスクやチャンスをどのように捉え、自分たちのリソースを活かせる可能性をどう見出し、どのように新しい可能性を拓いていくのか。そのストーリーを”最高の商品”をめぐる対話を通して分かち合っていくことが、ステークホルダー・エンゲージメントになります。

社員と仕事の意味を分かち合う

新事業開発担当者がいくら新しい発想で事業を開発しても、CSRやサステナビリティの担当者が、いくら良いことをし、立派な統合報告書を作成したとしても、それぞれが単独で実施し、結果を社員や顧客らに”伝える”だけでは、組織の力にはなりません。

”最高の商品”やサステナビリティの取り組みをめぐる対話を通して、社員が「自分の会社が社会に存在する意味」「自分が働いていることの意味」を自覚・実感でき、自分の仕事に誇りを持って働ける人が増えることが、何よりの競争力になるのです。

empublic 提供プログラム

  • 現場のクロス体験を通しての対話

    経理スタッフが営業現場を体験したり、営業がCSRの仕事を体験するなど、異なる部署の仕事を体験し、その経験を踏まえて対話することで、会社の存在意義、強みなどの洞察が深まります。

  • 6つの資本を活かしたビジネス再検証の対話

    6つの資本の考え方を活かした対話によって、社員は事業の基盤と成果を幅広い視野から捉えなおすことができます。

  • パーソナル・サステナビリティ・プランづくり

    会社としてのESG対応ではなく、社員一人ひとりが自分の仕事でできる「ESG」を見直す対話を通して、自分の仕事の意味やできることを見直すだけでなく、内発的動機からコスト削減やコンプライアンス遵守を促すこともできます。

  • SDGsを使いこなす!事業強化ダイアログ

    SDGsを理解し、現状の仕事をゴールと結びつけるだけでなく、ゴール達成に向かって内外のリソースをどう使うか議論することで、仕事の意味の理解を深めることができます。

4.最高の仕事は、問いかけから生まれる

”最高な仕事”は、変わりゆく社会の中で自分たちの商品やサービスをどう位置づけるのか、そして顧客や多様な関係者と未来へのストーリーを分かち合うことから生まれます。そこで鍵になるのは、前提や視点、考え、経験の違う他者との対話です。

顧客はどのような状況の中で何を考えて生きているのか? サプライチェーンの上流で何が起きているのか? 製造の現場で働く人たちの課題は何か? 実現したいことに使える新しいテクノロジーは何か?

現状を多面的に分析するにも、これまでの延長にはない未来を描くにも、自分の考えを分かち合い協力関係をつくるにも、どのように問いを設定し、どう問いかけるかによって得られることは大きく違ってきます。

問いかけ、共に探求する中から生まれる関係性が、最高の商品を生み出す力になります。

最高の仕事をつくり、2020年代に顧客も、会社も、社会も笑顔になれるビジネスを展開するために

”最高な仕事”とは何か?に正解はありません。

誰にとって、何が最高なのか、正解のない問いをともに生きるための力を、エンパブリックのプログラムで体験を通して学んでいきませんか?