現代の狐とブドウ ~メルマガ「根津の街から」2017年5月26日

◆empublicメールマガジン「根津の街から」 -◆  (2017年5月26日発行)

 

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社内の共有カレンダーで、広石のスケジュールに「魂の会、打合せ」というのが。初めて見た時、「何、これ??」と思って確認したのですが、あやしい方向に転がっている訳ではありません!

健康について新しい視点から考える対話シリーズが始まる打合せでした。
「Spiritual Health(下記、2)」のプログラム、おもしろそうです!

<INDEX>

◆1◆ コラム「変化の時代の狐とブドウ ~わからないことは大切ではない?」

◆2◆ 対話シリーズ「Spiritual Healthを探求しよう」が始まります!

第1夜「Spiritual Health(魂の健康)は必要なの?~臨床宗教師の仕事から考えよう」(6/21)

◆3◆ 雑談から始まるファシリと場づくり(6/2金 夜)

ワークショップ・デザイン(6/2金 昼、 6/25日昼)

◆4◆ ゼミ「問いかけ力を磨こう」(6/3&7/1 土曜集中開催)

◆5◆ レポート「鶴岡ナリワイプロジェクト訪問~自分にできることの再発見」

◆6◆ 編集後記「ミッションを考える対話を行いました」

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◆1◆コラム「変化の時代の狐とブドウ ~わからないことは大切ではない?」(広石)

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IoT、SDGs、ビットコイン、インダストリー4.0、マーケティング4.0、シンギュラリティなどなど、新しい概念や言葉がどんどん出てきています。

新しい用語や概念が登場した時、「何、これ?」「よく、わからない」と感じます。
その次が、とても大切だと思うのです。
「どういうことなのかな? なぜ広がっているのだろう?」と問いを持つのか、スルーしてしまうのか。

経験豊富な経営コンサルタントの加藤誠也さんは、多くの経営者や管理職と接する中で、「自分がよくわからないこと=大切ではないこと、と判断する人が増えている」と危惧しています。

そのことを聞いて、僕が思い出したのは「狐とブドウ」の話です。
狐がブドウを取ろうとして取れなかったので、「きっと不味いだろう」と言って去ったという話。

変化の激しい時代には、「わからないこと」にたくさん出会います。
もちろん新しいことは玉石混合で、大切でないことも多いかもしれません。
しかし、もし自分にとって「わからないこと」が広がっていて、熱心な支持者がいるならば、そこには何か意味があるかもしれません。

イノベーションは、いつもマイナーなところから始まります。
最初に意味や可能性に気づいた人がいて、そこから徐々に広がり、気づけばビジネスや仕事、生活の前提が変わってしまっている。
「よくわからないこと」は、変化の兆しなのかもしません。

ただ、「わからないこと」に向き合うには、自信も、仲間も、時間も必要になります。
そして、ただ知ろうとするのではなく、誰に、どう問いかけるのかも大切です。

一方で、「わからないこと」を探求する中で見えてくる新しい世界、今まで視野に入っていなかったことへの気づき、新しい仲間との出会いはとても楽しいことです。

「きっと不味い」と決めつけるのは、もったいないですよね。

変化の激しい時代だからこそ、「わからないこと」に一歩踏み込んでみる余裕を持つことも、大切なことなのだと思います。

 

 ◆2◆ 対話シリーズ「Spiritual Healthを探求しよう」が始まります!

第1夜「Spiritual Health(魂の健康)は必要なの?~臨床宗教師の仕事から考えよう」

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身体に病気がなく、精神も病んでいなければ「健康」なのでしょうか。

例えば、病気もなく会社で働いている人も感じる「なんとなくの虚しさ」、愛する人を突然失った後に長く残る喪失感。
また、美しい風景や素晴らしい音楽にふれた時に生まれるエネルギー、自然や祈りの時間が与えてくれる癒し。それらは、目にも見えず、外から評価もしづらいのですが、私たちの「健康」に影響を与えていると思われます。

そこで、身体、メンタルヘルス、社会性では捉えきれない健康の領域は「Spiritual Health(魂の健康)」と呼ばれます。

ただし、Spiritual Healthは目に見えず、外部から評価しづらいこともあり、重視されてきませんでした。

 

しかし、現代の日本が物質的には豊かになったのに、心の豊かさがないという時、また、家族や自分の最期を安らかに迎えたいという時、「魂の健康」という切り口は、とても大切になってくるのではないでしょうか?

それを考えるきっかけとなるのが、近年、注目を高めてきている「臨床宗教師」という仕事です。
病院や被災地で、特定の宗教や宗派の布教を目的とせず、本人の求める安らぎや癒しを支える仕事として注目が高まっています。

この対話シリーズでは、「Spiritual Health」が、現在の日本を生きる私たちにとって、どのような意味があるのか? 満たされた人生を送るために、何が大切なのか? 対話を通して考えていきます。

第1夜では、

健康の概念やヘルスリテラシーを専門とする聖路加国際大学の中山和弘教授から、健康の概念の変化、これまでの健康づくりで忘れられがちなことをお聞きした上で、臨床宗教師として活躍されている、玉置妙憂さんから臨床宗教師の背景、活動の実際、玉置さんがお感じになっている「Spiritual Health」の必要性をお話しいただきます。その上で、Spiritual Healthは必要なのか、何が大切なのか、考えます。

第2夜では、私たちの生活にとって、どう活かせるのか、第3日は、どのように実践していけばいいのか、探求を進めていきます。

まだ分からないことの方が多く、正解のない、「Spiritual Pain」や「Spiritual Health」、魂へのケアが人生や健康にもたらす意味を、ともに考えませんか?

 

対話シリーズ「Spiritual Healthを探求しよう」

https://empublic.jp/dialog_spiritual-health

 

第1夜「Spiritual  Helathは必要なの?~臨床宗教師の仕事から考えよう」

>2017年6月21日(水)19:00~22:00 @根津スタジオ

>詳細・申し込み https://empublic.jp/7187

第2夜「明日を生きるためのSpiritual Healthとは?」(7/5水 夜)

第3日「魂の健康づくりとは? ~自分らしい実践法を考えよう」(7/22土 午後)

 

◆3◆ 雑談から始まるファシリと場づくり(6/2金 夜)

 ワークショップ・デザイン(6/2金 昼、 6/25日昼)

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「雑談から始まるファシリと場づくり」は、日常の中での実践できることを大切に、つながりと協力を促すファシリテーションの基礎を講座と体験で学びます。

受講生が実際に行ってみた様子にコメントがつき、自分の無意識の癖もわかります。

一方通行のセミナーから参加型の学びの場に転換する方法を講義と体験で学ぶ「ワークショップ・デザイン」と6/2の昼と夜でのセット受講もお勧めです!

*「雑談から始まるファシリと場づくり」 https://empublic.jp/5133

2017年6月2日(金) 19:00~22:00

*「ワークショップ・デザイン」 https://empublic.jp/5162

2017年6月2日(金)10:30-16:30

2017年6月25日(日)10:30-16:30

 

◆4◆ ゼミ「問いかけ力を磨こう」(6/3&7/1 土曜集中開催)

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情報があふれ、多様な選択肢がある時代に、最も大切になるのは、問いかける力!

6つの場面において”適切に問いを設定し、関係者と共有する力”を演習や体験を通して

学んでいきます。自分たちのチームや事業開発を見直すのにも最適です。

現在、6月3日、7月1日の土曜2日間開催の参加者を募集しています!

https://empublic.jp/questioning

 

 

◆5◆ レポート「鶴岡ナリワイプロジェクト訪問~自分にできることの再発見」(広石)

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5/13-14、鶴岡ナリワイプロジェクトへのフィールドワークを実施しまし、自分で一歩を踏み出す場づくりを始めたい、3人の方が参加されました。
ナリワイを始めた人たちの団体、鶴岡ナリワイALLIANCEのみなさんにもご協力いただき、充実した議論の時間となりました。

話で出たのは、「自分にできることの再発見」の大切さです。

自分にできることは自分一人で考えていても見つけづらく、難しく考えてしまいがち。自分にとっては普通のことや得意と思っていないことでも、誰か困っている人に出会った時、「あ、それなら私できるかも」と思えた時に、自分自身のことを再発見できる。

例えば、パソコンが得意と言えるレベルではないかもしれないけど、地域の人が見積書作成で困っていたら、「私がワードやエクセルで作りましょうか」と言えたら自分自身のできることを一つ追加できます。

そうやって、自分にできることを一つずつ積み重ねていくことが、自分への自信だったり、次への一歩だったりを踏み出すためにつながります。

「できること、たくさん見つけた」と言えるような場づくりが広がってほしいと改めて思いました。

 

◆6◆ 編集後記(矢部)

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自分の今、過去、未来に向き合うことで、次へのアクションを考える「自分のミッションを探求しよう」を開催しました。

キャリアの次へのステップを考えたいという30歳前後、50歳前後の方にご参加いただきましたが、4つのセッションで、自分のことを真剣に考え続け、ヘロヘロになった~という声も出る中で、「自分の夢を実現するために近い環境にいることがわかった」「今の環境でもやれることはある」など、今の自分の持っている経験や仲間・関係性の価値に気づくこととなりました。

リンダ・グラットン著「ライフシフト」では、「変身資産」という言葉が出てきます。
次のステージに進むには、自分の中にある基盤を自覚する必要があるという意味ですが、

セッションは、ご自身の変身資産を再認識するプロセスともいえると思いました。

セッション修了後、晴々とした表情の皆さんに、私も元気を頂きました!

よろしければ、開催レポートもご覧ください(https://empublic.jp/7193)。(矢部

 

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株式会社エンパブリック メルマガ「根津の街から」

(第168号 2017年5月26日配信)

発行責任者=広石 拓司

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ご意見・ご感想は info@empublic.jp までご連絡ください。

皆さまのご意見・ご感想お待ちしています。

配信停止希望の方はこちらからお手続きをお願いします。

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開催レポート「自分のミッションを探求しよう~今・これまで・これからを結び、自分らしさを再発見する4つの対話」

書籍「ライフシフト」が注目されるなど、長寿時代に向けて、これまでの概念とは異なる新しい働き方が模索する人が増えてきています。エンパブリックでは、readiness for 2025の一環として、2025年に向けた自分のキ […]

参加レポート:ジェンダーサミット10のサテライトイベント「進路で人生どう変わる?理系で広がる私の未来

5/27に、ジェンダーサミット10のサテライトイベント「進路で人生どう変わる?理系で広がる私の未来」が開催され、スタッフ矢部も、社会人リケジョの座談会のファシリテーターを担当しました。

組織資本が利益の源泉となる ~「6種類の資本(2) 」2025年のためのリーダーのための新常識 第10回 

6種類の資本(1)では、これまで「資本」というと財務資本が中心で考えられてきましたが、これからは製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本と総合的に考える必要があると書きました。新しい5つの資本の中には、あまり馴染みのないもの、一般的なイメージと少し違う新しい定義のものもあります。
 例えば、「知的資本」と聞くと、多くの人は特許や商標権、著作権など「知的財産」を思い起こすでしょう。確かに、知的財産は知的資本の重要な構成要素です。しかし、国際統合報告ガイドラインの知的資本は、知的財産権に加えて、組織資本を含むとしています。
「組織資本」という言葉が注目されるようになったのは、比較的新しく2000年前後くらいからです。
最初のきっかけはIT化が進んでいるのに、なぜ多くの企業にとって、それが生産性を改善し利益率が向上することにつながらないのか、という疑問からでした。90年代後半、IT革命が盛んに言われた頃、IT化が進展すればどんどん生産性が上がり、人々は楽に利益を生み出せるようになるという意見もありました。もちろん、IT化によって業務が効率的にできるようになりましたが、そんなに仕事は楽になっていないし、IT化を進めるすべての会社の利益率があがる訳でもなく、むしろ格差は広がっている。それは、なぜなのか、研究が進んだのです。
そこで明らかになったのは、IT投資は、業務プロセスの再設計・再構成、それに適応した人材の育成や確保ができた場合に、数年間のタイムラグをもって生産性や企業のパフォーマンスが向上につながるということです。例えば、MITのErick Brynjolfsson教授の研究では、IT投資で効果をあげている企業は、組織資本や人的資本にハード投資額の約9倍の投資を行った後、3~7年以上の期間を経て効果を上げていることを実証しました。
これは、ITをいくら導入しても業務の進め方や意思決定のプロセス、人材の評価の方法などを変えなければ、大きな効果は出ないということです。例えば、「イントラネットでカレンダーを共有し、会議を効率化しようとしても、管理職が手帳でスケジュール管理しているので、結局、オンラインで決めれない」「他の部署にチャットで社員が勝手に連絡すると、正式なルートを通すべきという意見がでる」といったことは、社内情報化あるあるですが、これでは、いくらIT投資をしても、経営者とコンサルタントが立派な計画を作っても、現場での意思決定のスピードも生産性もあがりません。
これらは「小さなこと」ではなく、これらを放置している時点で、企業として「組織資本を向上していない」といえ、利益の源泉をつぶしていると判断されます。
このことは、2020年代に向けて大きな示唆を持っています。これからテクノロジーが進展し、ICTの一層の進展に加えて、AI、IoTなどがビジネスで重要な役割を果たすようになります。
いくら窓口をロボットにしても、IoTで顧客の利用情報が蓄積できても、それを導入することで、どう業務フローや意思決定プロセスを変えるのか、新しいプロセスを使いこなせる人材を確保し、その人材をリーダーとして新しいチームを作っていくのか、そのような組織資本の向上を行っていなければ、利益を生み出すことはできないでしょう。
社会も市場もテクノロジーも変化します。その変化に、単発や個人レベルで対応するのではなく、変化を活かせるような仕組みや組織のあり方を持っているのか、そして機敏に更新していけるのか。その「組織資本」を整えていけなければ、今いくら利益を出していても数年後の未来は危ないでしょう。
組織資本は、利益を生み出す元手として、ますます重要になっていくのです。
参考資料:宮川努ら「無形資産(組織資本および人的資本)と企業パフォーマンス」RIETE

イノベーションズアイ 連載コラムより

掲載サイト  http://www.innovations-i.com/column/2025leader/10.html

[11/19]私の仕事とSDGsの関係を考えよう!~私の仕事の価値再発見!