[report]大田区「六郷助け合いプラットフォーム」~collective impact型活動の立上げ支援:

エンパブリックでは、平成29年度の東京ホームタウンプロジェクト「伴走支援」において、大田区社会福祉協議会の「六郷助け合いプラットフォーム」の立上げをサポートしました。地域の多様な主体が連携した活動を進めるために、コレクティブ・インパクトの考え方を応用し、「単独では解決できない地域課題の共有」を深める対話の実施をサポートしました。それによって、「多様な主体で助け合う意味」を実感した参加者によって、助け合いプラットフォームが立ち上がりました。

取組みの背景 (大田区社会福祉協議会のページより)

地域の福祉課題が複雑化・深刻化する中、ひとつの団体だけでは解決できない困難な課題の壁があります。この壁を乗り越えるためには、地域住民、行政、学校、社会福祉法人、区民活動団体、専門家などの関係機関(者)がそれぞれの強みを活かし、連携して解決に取り組む必要があります。
しかし、それぞれが考える課題や連携への理解に相違があるままでは、連携・協働はうまく進みません。そこで、社会や課題の変化を把握し、地域の福祉課題を共有・協議するための場(プラットフォーム)づくりに取り組みを始めました。

実施内容

六郷地域の関心が高く、大田区で策定された「おおた 子どもの生活応援プラン」から、「子どもをめぐる課題を共有する場」をテーマに、4回の対話を行いました。対話には、自治会・町会、民生委員児童委員(主任児童委員)、青少年地区対策委員、小中学校、児童館、社会福祉法人、NPO法人、地域包括支援センターなど、のべ104名が参加しました。そこで、課題共有を深め、協力して取り組む必要があることが実感され、継続して話し合うプラットフォームの立上げに至りました。

子どもをめぐる問題は複雑化し、単独の活動では解決しづらくなっている。自団体と他団体の活動が成果を出すには共通項があり、補い合える協力を進める必要があることを実感できる対話が必要となる。(大田区社会福祉協議会資料より)

サポート内容

地域の多様な主体がつながる仕組みの設計と場づくりの支援を行いました。
地域の多様な団体の連携の大切さは各地で指摘されています。その時、「つながる」「一緒に活動する」ことが重視され、新しい組織の立上げや協働での解決策を考えるワークショップが開催されることが多くあります。しかし、組織や解決策を急いでも、地域のそれぞれの活動団体の活動とは「別のもの」を作っても、忙しい活動団体は十分に時間を割くことができません。

まず、それぞれの団体が「自分のミッションを達成するには、自分だけでは解決できないことがある」こと、そして「地域の他の担い手と連携することで、自分達の活動が前に進む」ことを自覚することが大切です。
そこで、「地域の課題を共有する」ための4回のワークショップの開催を行うこととなりました。私たちは、全体設計とプログラムづくり支援、大田社協職員によるファシリテーションへのアドバイスを行いました。

サポートのプロセスは、東京ホームタウンプロジェクト、大田区社会福祉協議会のホームページにて紹介しています。

大田区社会福祉協議会では、平成29年度の経験を踏まえて、六郷地区で「六郷助け合いプラットフォーム」を立ち上げると共に、地域全体に「助け合いプラットフォーム」を広げる活動を始めています。

collective impact を活かす

プログラムの設計、場づくりの実践においては、「collective impact」の考え方を活用し、参加者のみなさんとも共有しました。

「collective impact」は、社会を良くするには地域内の似たテーマの団体が協力することが大切だが、各団体は自団体の成果を中心に考え、結果的にisolated impact(孤立したインパクト)となりがちな状況に対して、「セクターや専門分野が異なる多様な主体が、地域の課題を共有し、課題解決の達成のために継続的にコミュニケーションをとりながら、それぞれの活動を行う。ことで、集合的(collective)なインパクトを生み出す考え方です。

この「collective impact」が成果を出せるかどうかは、事前のプロセスです。地域で起きている問題を多面的に理解し、問題解決には多数の要素が関係していることを共有する必要があります。同時に、それぞれの活動には異なる強みや経験があることをお互いに知り合い、それぞれが協力の意味を実感し、協力への機運を醸成する必要があります。

大田区社協の取組みでは、「個々の活動では取り残される課題」を出し合い、地域課題の本質を探る4回の対話を重ねたこそ、「課題の本質」を共有し、「連携して取り組むこと」「今、地域に足りないこと」を、参加者と共にが明確にできたことで、プラットフォームの立上げ、発展への気運を高めることができました。

そして、「組織化するのではなく、地域課題や時代の変化、情報を常に共有して助け合う場」を地域の多様な主体が参画して立ち上げることができ、大田区社会福祉協議会は「この場が前へと進むようファシリテートし、企画立案や事業立上げ等の支援」こそが自らの役割だと自覚することができました。

Collective Impactについて、「readiness For 2025~地産知縁5号」にて、2025年の問題解決の手法として特集を組んでいます。

複雑な問題に対して、多様な主体と協力し、collective impact等を活用して、どう問題に取り組むのか。根津スタジオのゼミ「複雑な問題の解決に挑むためのダイナミック・パートナーシップ実践法(全2回)」で考えてみませんか?