2025年のリーダーのための新常識 ~ 第5回 「問いかけ(inquirey:インクワイアリ―)」 本質を探究する力

最近、「質問力」という言葉を耳にすることが増えたように思います。
それは、なぜなのでしょうか?
質問は、自分が疑問に感じる、自分の中に「問い」を持つことから始まります。
同じ状況にいても、問いを持つ人と持たない人がいます。
その違いを生み出すのは、状況に対する向き合い方です。
状況に受け身で接していると、「そういうものだ」と考え、問いは生まれません。
状況に対して自分の経験と照らし合わせながら、また、目指す姿を持ちながら向き合っている時、自分のイメージと現状のギャップが気になり、「問い」が生まれます。
つまり、「問い」が生まれている時は、状況に主体的に向き合っている時です。だから、質問力の高さは主体性の指標となると考えられるのです。
さらに考えると、「問い」には「答を知るための問い(question)」と「探求するための問いかけ(inquiry)」の2種類があります。
「答を知るための問い」は、自分の知りたい答を得ることができれば、そこで終わるような問いです。
「マーケティングって何?」に対して、「コトラーは・・・と言っている」「全米マーケティング協会の定義では・・・だ」と、専門家や権威などが出している「答」を求めることです。
それに対して「本質を探究するための問いかけ」は、問いが展開していきます。
「マーケティングって何?」に対して、「この本には・・・とあるが、自分の会社ではどうだろう?」「自分の会社でできていないのは、どうしてだろう?」「自分の会社の現状を活かすマーケティングって何だろう?」と問いが問いを生み出していくような問いです。
これまで、「問い」は、答を知るためのものだと思われてきました。受験勉強では、先生の出す問いに生徒は答えます。同様に、ビジネスの現場でも「問い」が生まれたら、専門家(本、講演、コンサルタント)から答を教えてほしいと考えてきました。逆に、専門家も「これが正解だから、これを知れば解決する」と伝えてきました。しかし、その結果、「答」を知っているのに、実際には活かせない状況も多数生まれています。
一方で、「本質を探究する問いかけ」をする人は、これまで、ちょっと面倒な奴と考えられがちでした。問いが問いを生むのはキリがなく、「どうして?」「そもそも」という問いを出し続ける人は哲学論争をしかけているようで、実践的な意味はないと考えられがちでした。
しかし、現在は、そしてこれから2020年代にかけて変化の時代です。昨日の正しさが明日も通用するとは限りません。
変化する状況の中で短期的な答を追い求めるだけでは状況に振り回されるばかりですが、本質を求める問いかけを行うことで状況に動じない軸ができるでしょう。
例えば、主力商品の売り上げが落ちてきた時に求められるのは、「どうしたらもっと売れるのか?」「続けるか撤退か」というすぐに答を求める問いよりも、「どうして、この商品を自分たちは販売しているのか?販売し続けるのか?」「この商品は、5年後、10年後、どうなっていくのか? それはどうしてなのか?」といった問いかけです。メンバーやステークホルダーに問いかけ、自分たちがどうありたいのか定めていくことで、長期的な信頼関係を構築できる力が求められます。
2020年代、時代がスピードアップするからこそ、自分たちの軸をしっかり問いかける力が求められています。
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